(1) 論理再合成部作成 マスク製造後の設計変更に対する再設計コストの削減を目的として,必要最小限の変更によって設計変更に対応する論理再合成に基づいてマスクを再利用する手法を考案・実現した。チップ上にスペアセルとしてあらかじめ埋め込んでおいた,メタル配線によって所望の論理素子を構成できるRECONセルを用いて回路修正を行うことで,配置用のマスク,すなわち拡散層やポリシリコン層の形成に用いるマスクの再利用を可能とした。さらに,RECONセルをスペアセルとしてのみならず,ユーザ論理を実現するためのセルとしても利用することで,より幅広い設計変更に対応可能とする「ECOに優しい設計手法(ECO-friendly design style)」を提案・実現した。 (2) 提案手法の評価と研究成果発表 開発した実験システムを用いた設計実験,ならびに実態調査によって得られた実際の設計誤りや設計変更に関する記録をもとに,種々の回路に対する設計誤りの自動診断・修正能力を評価した。その結果,BDDとSATソルバを組み合わせた論理診断手法の実現によって,従来のBDDによる手法では扱えなかった2万ゲート規模の回路に対する論理診断が行えることを確認した。さらに,(1) で提案・実現したECOに優しい設計手法についても実験・評価を行った結果,論理再合成の際に割り当てるRECONセルについて,スペアセルのみならず,ユーザ論理の実現に用いたRECONセルをも割当て候補とすることで,クリティカルパス遅延の短縮に有効であることを確認した。
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