研究課題/領域番号 |
24500065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
籠谷 裕人 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (50271060)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非同期式回路 / パイプライン / 簡単化 / 状態遷移 |
研究概要 |
平成24年度は、当初の予定どおり、研究の目的(3)におけるパイプライン化された制御フローグラフを簡単化する二つのアルゴリズムの開発に取り組んだ。前者は、ノードの再統合前と再統合候補の制御フローグラフからそれぞれ状態遷移グラフし、それらの等価性を判定することで、この候補の採用可否を決定するという手法である。このアルゴリズムは完成し、その正当性と計算量の上界を示すことができた。 前者のアルゴリズムには計算量が大きいという課題があり、より簡便な方法となるもう一つのアルゴリズムについても開発に取り組んだ。後者のアルゴリズムでは、制御フローグラフから、あらかじめ並列性の上界を抽出し、この上界までのイタレーション回数の範囲で分岐系列を限定して、発火の因果関係を解析することにより、等価性を判定している。これにより、状態数が爆発的に増大しうる状態遷移グラフを作成する手間がなくなるため、計算量が抑えられる可能性がある。このための基本的なアルゴリズムについてはほぼ構築できているが、正当性の確認および計算量の評価に至っていない。 実装については、前者のアルゴリズムは研究費により購入したサーバPCを用いて実装をほぼ完了した。現在、定量的な計算時間の評価を行うため、アルゴリズムに適用する大規模な仕様例の準備を行っている。後者のアルゴリズムについては、計算量が抑えられる可能性はあるもののアルゴリズム自体は複雑化しているため、実装に時間を要しており、未完了である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、上記のうち後者のアルゴリズムを完成させることとなっていた。しかし、この正当性の確認ができておらず、適用範囲が未知であり、このまま論文等で発表できる段階ではない。このため、発表に要する研究費を使用していない。ただし、前者のアルゴリズムは完成しており、アルゴリズム構築そのものができなかったというわけではない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、上述したうち後者のアルゴリズムの正当性と計算量の評価を行い、論文として発表を行う。 また、これとともに、当初の研究計画のとおり目的(1)のパイプライン深度の最適化に取り組む。これは、通常のスケジューリング問題の一般化であると考えることができ、この解法には高性能な整数計画問題ソルバーが欠かせない。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の整数計画問題ソルバーを動作させるためのPCおよびソフトウェアの導入が必要であり、研究費のうち物品費を使用して購入する。 また、論文発表を行うための費用を使用する。
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