• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

リアルタイム3次元動画像再生用マルチGPUクラスタ電子ホログラフィシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24500071
研究種目

基盤研究(C)

研究機関高知大学

研究代表者

高田 直樹  高知大学, 教育研究部自然科学系, 准教授 (50290713)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード電子ホログラフィ / 高性能計算 / Graphics Processing Unit / GPGPU / 計算機システム / 分散並列計算 / 計算機合成ホログラム / リアルタイム処理
研究概要

コンピュータで計算されたホログラム(CGH)による3次元動画像再生技術(電子ホログラフィ)は「究極の立体テレビ」になると考えられている.計算量が膨大であり未だ実用化に至っていない.本研究では,コストと簡便性を考慮し,マルチGPUクラスタと光学系装置を一体化したシステムを開発する.約1万点もあれば複雑な3次元物体を物体点で表現することができる.そこで,本研究では約1万点の3次元物体のCGH計算を含むリアルタイム動画像再生の実現を目的とする.
本研究では最新のKeplerアーキテクチャのGPU(Geforce GTX 680)を使用した.Geforce GTX 480に比べ約2倍の高速化がなされた.最新のGPUを4枚搭載したマルチGPU環境のPC1台でCGHの並列計算を行なった結果,約4千点の物体点のCGH計算で37msであった.あと2倍高速化がなされれば,1台のマルチGPU環境のPCで約1万点の物体のリアルタイム動画像再生が可能となる.そこで,残像効果を使用した単色時分割電子ホログラフィを試みた.3次元物体を2分割して交互に計算する方法は,分割しない場合と相違ないことが確認された.3分割まで使用可能であることがわかった.本手法をマルチGPU環境のPCに実装すれば1万点の物体のCGH計算を含むリアルタイム動画像再生が可能である.さらに,1枚の最新のGPUを用いて時分割リアルタイムマルチカラー電子ホログラフィも試みた.ハイパワーのマルチカラーLEDをUSB-パラレルモジュールを使用して赤,青,緑の色の制御をホストのPCで行う.LEDの色とCGH計算の同期はホストPCの1つのプログラムで実行することができるため開発も容易である.
これらの手法も取り入れてマルチGPUクラスタへの実装を進めており,約1万点以上の物体のリアルタイム動画像再生の実現を目指している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の計画を立てている時点では,その当時の最新GPUの計算性能を考慮し,また,約1万点もあれば複雑な3次元物体を物体点で表現することができることから,約1万点の3次元物体のCGH計算を含むリアルタイム動画像再生の実現を目的としていた.
これまでに構築したマルチGPUクラスタをベースとして,GPUだけ最新のKeplerアーキテクチャのGPU(Geforce GTX 680)を搭載することにより,予算内で劇的に計算性能を向上させることに成功した.CGH計算性能を評価したところ,以前使用していたGPU(Geforce GTX 480)に対し,1枚のGPUに対して約2倍計算高速化していることが確認された.当初は,1台に4枚のGPUを搭載したマルチGPU環境のPCを4台使用してクラスタ構成することにより,約1万点の3次元物体のCGH計算を含むリアルタイム動画像再生の実現を目的としていた.しかし,Geforce GTX 680を4枚搭載したマルチGPU環境のPC1台でCGHの並列計算を行なった結果,約4千点の物体点のCGH計算で37msであり,当初予定していた性能に迫る結果を1台のPCで実現することができた.また,新しい手法も試みており,約1万点以上の物体のリアルタイム動画像再生が実現できる可能性がでてきた.これらは,研究計画で目標としていた計算性能をはるかに上回る可能性がでてきたことから,計画以上に進展していることがわかる.

今後の研究の推進方策

本研究で使用する「マルチGPUクラスタ電子ホログラフィシステム」は「マルチGPUクラスタ」と「電子ホログラフィ用光学系装置」の2つからなる.これまで使用していたマルチGPUクラスタの各部品の性能を踏まえ再検討し,GPUボードのみを最新のGPUに変更することにより低コストで高性能の計算システムを実現できることがわかった.これにより「マルチGPUクラスタ」の改良を行なった.「電子ホログラフィ用光学系装置」としては振幅ホログラムの再生装置と,位相ホログラムの再生装置と2つ構築することができた.用途に合わせ「マルチGPUクラスタ」と2
つの「電子ホログラフィ用光学系装置」の接続を切り替えることができるシステムとなっている.
平成24年度では「マルチGPUクラスタ電子ホログラフィシステム」の構築と,主に振幅ホログラムの計算においてプログラム開発を行なった.また,マルチGPU環境のPC1台の最適化に重点を置き,2つの新しい計算手法も試みた.
今後は,この新しい方法をマルチGPUクラスタへ実装し,従来よりも更なる計算高速化を試みる.また,位相ホログラムは,0次の再生像のみ表示されるため再生像が見やすくなるといった利点がある.振幅ホログラムに比べ計算量が2倍に増える.平成24年度に試した新しい方法を,位相ホログラムへ適用することを試みる.
また,マルチGPUクラスタ電子ホログラフィシステムの性能評価結果をもとに,最適化の検討を行う.通信と計算の並列化など高速化の検討をさらに進め,負荷分散についても検討する.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fast high-resolution computer-generated hologram computation using multiple graphics processing unit cluster system2012

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takada, Tomoyoshi Shimobaba, Hirotaka Nakayama, Atsushi Shiraki, Naohisa Okada, Minoru Oikawa, Nobuyuki Masuda, and Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Applied Optics

      巻: Vol. 51 ページ: 7303-7307

    • DOI

      10.1364/AO.51.007303

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Computational wave optics library for C++: CWO++ library2012

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Jiantong Weng, Takahiro Sakurai, Naohisa Okada, Takashi Nishitsuji, Naoki Takada, Atsushi Shiraki, Nobuyuki Masuda, and Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Computer Physics Communications

      巻: Vol. 183 ページ: 1124-1138

    • DOI

      10.1016/j.cpc.2011.12.027

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast Computation of 20 Mega Pixel Computer-Generated Hologram Using Multi-GPU Cluster System2012

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takada, Tomoyoshi Shimobaba, Hirotaka Nakayama, Nobuyuki Masuda, and Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Collaborative Conference on 3D Research

      巻: なし ページ: 25-26

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Non-uniform sampling based computer holography2012

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Takashi Kakue, Nobuyuki Masuda, Naoki Takada, and Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Collaborative Conference on 3D Research

      巻: なし ページ: 37-38

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast Parallel Computation of Computer-Generated Hologram using a multi-GPU environmental PC2012

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takada, Tomoyoshi Shimobaba, Atsushi Sugiyama, Naohisa Okada, Hirotaka Nakayama, Atsushi Shiraki, Nobuyuki Masuda, and Tomoyoshi Ito
    • 雑誌名

      Proceeding of the International Display Workshops

      巻: 19 ページ: 1281-1282

    • 査読あり
  • [学会発表] CUDA互換GPUによるFDTD法の計算高速化に関する考察2012

    • 著者名/発表者名
      高田直樹, 杉山充, 下馬場朋禄, 増田信之, 伊藤智義
    • 学会等名
      電子情報通信学会2012ソサイエティ大会
    • 発表場所
      富山大学(富山県)
    • 年月日
      20120911-20120914
  • [学会発表] CPU及びGPUに対応したC++とPython向け波動光学計算ライブラリの開発2012

    • 著者名/発表者名
      下馬場朋禄,角江崇,高田直樹, 増田信之,伊藤智義
    • 学会等名
      第11回情報科学技術フォーラム(FIT2012)
    • 発表場所
      法政大学(東京都)
    • 年月日
      20120904-20120906
  • [学会発表] シングル LCD用マルチ GPU環境PCを用いた計算機合成ホログラムの計算高速化2012

    • 著者名/発表者名
      高田直樹, 下馬場朋禄, 杉山充, 岡田直久, 中山弘敬, 白木厚司, 増田信之, 伊藤智義
    • 学会等名
      第11回情報科学技術フォーラム(FIT2012)
    • 発表場所
      法政大学(東京都)
    • 年月日
      20120904-20120906
  • [学会発表] ast Computation of 20 Mega Pixel Computer-Generated Hologram Using Multi-GPU Cluster System2012

    • 著者名/発表者名
      Naoki Takada, Tomoyoshi Shimobaba, Hirotaka Nakayama, Nobuyuki Masuda, and Tomoyoshi Ito
    • 学会等名
      Collaborative Conference on 3D Research
    • 発表場所
      Seoul Palace Hotel(韓国)
    • 年月日
      20120625-20120629
    • 招待講演
  • [学会発表] Non-uniform sampling based computer holography2012

    • 著者名/発表者名
      Tomoyoshi Shimobaba, Takashi Kakue, Nobuyuki Masuda, Naoki Takada, and Tomoyoshi Ito
    • 学会等名
      Collaborative Conference on 3D Research
    • 発表場所
      Seoul Palace Hotel(韓国)
    • 年月日
      20120625-20120629
    • 招待講演
  • [備考] 高知大学 理学部 応用理学科 情報科学コース高田研究室

    • URL

      http://whale.is.kochi-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi