平成26年度は,アドホックネットワーク用可視化システムとして,室内での位置推定手法の調査・考案を行いその手法を実際に実装し評価を行った.また,無線メッシュネットワーク用可視化システムへの応用として,Internet of Things(IoT)の研究と関連する「モノ」の情報を可視化するシステムの実装を行った. 室内での可視化の場合,GPSを用いることができないので別な方法で位置推定を行う必要がある.26年度は各端末間の電波強度を利用した位置推定手法を調査・考案し実装した.電波強度を利用した位置推定手法として,位置が分かっている複数のランドマークからの信号強度により位置を推定するCentroid方式と空間内の信号強度を事前学習し,それに基づいて位置を推定するScene Analysis方式がある.それらを実際に実装しそれぞれの有効性を比較し位置推定精度などの評価を行った.その結果,Scene Analysis方式の有用性を確認した. また,端末の可視化だけでなく応用として「モノ」の情報の可視化システムの開発を行った.具体的には,車と歩行者の関係を可視化するシステムや物品の情報を可視化するシステムさらには食事情報を可視化するシステムの構築を行った.車と歩行者を可視化するシステムでは,今まで開発した端末を車に設置し,さらに歩行者には端末を持たせ,お互いの動きなどを可視化することに成功した.このシステムの開発により,交通事故防止などに役立てることができる.また,物品の情報の可視化や食事情報の可視化では,アクティブタグを用いて取得した情報を基に可視化を行い,精度の高い可視化を実現した.物品管理システムに関しては,製造業や流通業の分野への応用が期待でき,食事情報システムは,ヘルスケア分野の応用に期待できる. なお,3年間の研究成果に関して,国内学会はもとより複数の国際会議でも発表を行った.
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