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2014 年度 実施状況報告書

無線機器の省電力機構の効果を最大化するトランスポート層アーキテクチャ

研究課題

研究課題/領域番号 24500078
研究機関大阪大学

研究代表者

長谷川 剛  大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (00294009)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード無線LAN / 消費電力 / トランスポート層 / プロトコル / TCP / IEEE802.11 / 省電力 / 解析
研究実績の概要

IEEE 802.11無線LANにおいては、無線通信が消費する電力が全体の10%から50%を占めることが報告されており、無線通信の消費電力を削減することが機器全体の消費電力を削減するうえで重要である。無線LANにおける省電力化に関する検討は、主にハードウェアレベルおよびMACプロトコルレベルの双方から行われている。一般に、ネットワーク機器の省電力に関して議論を行う場合においては、省電力効果とネットワーク性能間のトレードオフを考慮する必要がある。すなわち、消費電力の削減に効果のある要因を明らかにし、その要因がどの程度ネットワーク性能を低下させるかを知ることが重要である。しかし、TCPなどのトランスポート層プロトコルの挙動が省電力性能に与える影響を考慮したデータ転送手法に関する研究はほとんど行われていない。

そこで本研究では、無線LAN 環境におけるTCPデータ転送の省電力化を行うためにSCTPトンネリングを提案した。SCTPトンネリングは、複数のTCPフローを無線端末とアクセスポイント間に確立した1本のSCTPアソシエーションに集約する。そして、SCTPトンネリングは集約されたTCPフローのパケットをバースト的に転送することによって状態遷移回数を削減し、スリープによる省電力効果を高める。また、提案方式の省電力効果を評価するために、SCTPトンネリングの消費電力モデルを構築する。その消費電力モデルに基づいた消費電力解析により、提案方式が消費電力を最大70%程度削減できることを示した。また、実機実験によってもその有効性を検証し、標準化されている省電力手法を単独で用いた場合と同程度の省電力効果を保ちながら、ファイル転送時間を短く抑えることができることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画はほぼ達成できたと考えている。
さらに、研究の過程において、提案した手法が無線LANだけではなく、オーバレイネットワークにおける計測技術や、セルラネットワークの負荷軽減やキャパシティ拡大に使える見込みができたため、この点に関する検討を進めている。
そのため、当初の計画異常に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

提案した手法が無線LANだけではなく、オーバレイネットワークにおける計測技術や、セルラネットワークの負荷軽減やキャパシティ拡大に使える見込みができたため、この点に関する検討を進めている。具体的には、オーバレイネットワークの計測オーバヘッドを削減するためのバス分割手法、及び、セルラネットワークにおける通信のために必要となるベアラ確立のためのシグナリングやトンネル資源の管理手法に適用することで、キャパシティ拡大が可能となる手法を提案したい。
提案した手法はシミュレーションや数学的解析などで評価する。

次年度使用額が生じた理由

今年度までに得られた成果の応用先として、無線マルチホップネットワークやオーバレイされる上位層ネットワークの制御へ応用できる可能性が出てきており、本年度既に予備検討を行った。次年度において、技術検討を進めるとともに、研究成果の早期発表を行うために、今年度の研究費の経費節減に務めたため、未使用額が発生したものである。

次年度使用額の使用計画

次年度においては、無線マルチホップネットワーク、や上位層ネットワークへこれまで得られた成果を適用し、その性能を評価するためのコンピュータの購入、また、得られた成果の対外発表のための出張旅費として使用したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] An analysis of energy consumption for TCP data transfer with burst transmission over a wireless LAN2014

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Hashimoto, Go Hasegawa and Masayuki Murata
    • 雑誌名

      International Journal of Communication Systems

      巻: online ページ: none

    • DOI

      10.1002/dac.2832

    • 査読あり
  • [備考] 研究室Webページ

    • URL

      http://www.ane.cmc.osaka-u.ac.jp/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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