本年度は,光トレイル網を対象として,省電力化を指向したMACプロトコルの考案に取り組んだ.光トレイル網で従来採用されているCSMA型MACプロトコルでは,光送信機のパケット送信間隔が短いために,光送信機を休止状態にすることによる省電力効果は限定的であった.本研究では,トークンパッシング(TP)型MACプロトコルでは光送信機のパケット送信間隔をより長く設定でき,それに伴い光送信機の休止期間をより長く設けられるとの着想に基づき,光送信機の休止機能を具備したTP型MACプロトコルを考案した.考案した2つのTP型MACプロトコル:考案プロトコル1 (従来のLT-FA MACに対して光送信機の休止機能を具備したMACプロトコル)と考案プロトコル2 (従来のART MACに対して光送信機の休止機能を具備したMACプロトコル)を計算機シミュレーションにより比較評価した.その結果,考案プロトコル1では光トレイルの利用率に関わらずほぼ同等の電力を消費すること,および,考案プロトコル2では光トレイルの利用率が0.9の場合と比較して0.1の場合には消費電力をおよそ40%程度へ低減できることが明らかとなった. 以上の研究成果を国際会議ITC-CSCC2014および第16回IEEE広島支部学生シンポジウムで発表した.また,昨年度の研究成果(動的トラヒックを対象とした省電力化トラヒックエンジニアリング)を国際会議ITC-CSCC2014で発表した.
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