研究課題/領域番号 |
24500083
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
近堂 徹 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 准教授 (90437575)
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キーワード | マイグレーション / 移動透過通信 / ストリーミング |
研究概要 |
本研究では、任意のアプリケーションを複数デバイス間でシームレスに移動することを可能にするアプリケーションポータビリティを実現する。 平成25年度は、仮想計算機上のOSの改変を必要せずネットワーク側で移動透過性を保証する新たなグローバルライブマイグレーション手法についての実装を進めるとともに、OpenFlow技術を用いた異なるアプローチでの移動透過機能の提供についても検討を行った。 また、広域環境での検証実験も進めた。SINET4およびJGN-Xを利用して広島大学、金沢大学、国立情報学研究所を結んだ広域分散プラットフォーム上で、移動透過通信機能を有するVMの拠点間グローバルライブマイグレーションに関する基本性能評価実験を実施した。さらに、デバイス間アプリケーションポータビリティを実現するためのデスクトップストリーミングの基本性能評価として、リモートデスクトップアプリケーションを利用した仮想計算機の広域グローバルライブマイグレーション実験も行い、その有効性について検証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、仮想計算機の移動(グローバルライブマイグレーション)に対してより柔軟性を向上させたグローバルライブマイグレーションを実現するための実装を進めている。 CentOS Linuxをベースとした仮想VMアプライアンスにはNAT66をベースにしたアドレス変換機能を組み込んでいる。また本年度はOpenflow技術を利用した移動透過通信機能の提供方法についても検討を進めている。本手法は、NATによるトランスレーション機構と移動透過性を提供するアドレス変換機構をOpenflowを利用したパケット書き換えにより実現することで、汎用性および効率性を確保できると考えられる。 デバイス間アプリケーションポータビリティを実現するためのデスクトップストリーミングについても検討を行った。広域環境におけるVMのグローバルライブマイグレーションのアプリケーションのひとつとしてリモートデスクトップサービスを対象とし、マイグレーション時の動作検証ならびに途絶時間等の評価を行った。 また、昨年度構築を進めた広域分散プラットフォームを利用した移動透過通信機能を有するVMの拠点間グローバルライブマイグレーションに関する性能評価実験を実施した。この性能評価実験では、広島大学、金沢大学、国立情報学研究所を結んだ広域分散ストレージ上でVMイメージを共有し、広島大学と金沢大学の異なる2つのネットワークセグメント間でアプリケーションセッションを維持しながらマイグレーションを行うものである。各拠点にマイグレーションを支援するためのエージェントを設置し、ハイパーバイザと連携させることでシームレスなグローバルマイグレーションを可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究方策としては以下の通りである。 ・仮想VMアプライアンスおよびOpenflowによる移動透過通信機能の提供について評価を行う。クライアントの途絶時間やスループットによる評価を行い、有効性について明らかにする。 ・デスクトップストリーミングとグローバルライブマイグレーションを組み合わせた評価をクライアント端末までを対象とした評価に拡大し検証を続ける。 ・昨年度実施した広域分散プラットフォームを利用した上記の検証を実施する。 ・3年間の研究の総括を行い、昨年度に引き続き得られた成果を対外的に発表を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
クライアント端末用のノートパソコン購入の機種選定に時間を要し、次年度に購入することとしたためであり、実施計画に大きな変更が生ずるものではない。 平成26年度は、複数のクライアント端末を含めた実験環境の拡充のために、ノートパソコンやタブレット端末を購入する。さらに、広域実験環境整備のために必要に応じてネットワーク機器の追加導入を行う。加えて、国内外の研究会等での情報収集および成果発表のための旅費も計上する。
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