本研究は交通効率を向上するために自動車群の協調走行を実現することを目的とし、走行中の自動車は能動対応(ポジティブ)型通信により、追い越しなどの意図を事前に複数の関連自動車に伝達して合意の上で協調しながら走行する方式を検討した。走行車両群を分散システムとして制限時間内に最適な協調行動の合意を形成し、リアルタイムな通信システムを検討した。 通信量を意識して合意達成のプロトコルを考案した。走行中の車群において加速、追い越し、勾配道路の影響を低減するための協調手順を検討した。協調走行、合意達成に必要な条件を満たす通信方式の研究を進めて伝送遅延、接続速度のなどの面から評価し、タイムクリティカル通信を保証できる多帯域チャンネル通信、IEEE802.11の改善、分散システム上の予約方式の実現などの面で検討した。 IEEE802.11の改善方式としてOBENプロトコルを提案してセンサーネットワークシステムに実装して評価するとともに、OPNETシミュレーションを行い、スループット、遅延、ノード数変動への適応性などの面から評価した結果、提案の有効性を確認できた。協調走行に欠かせない通信品質QoSの実現方法は重要で、いかに分散システムで実現するのかは課題である。それに対してリアタイムサービスの実現方法としてIEEE802.11eを改善してQoSの提供とスループットの向上を両立させる方法OBQを提案し、シミュレーションの結果は協調走行の要求に満たすことが確認できた。また、走行効率の向上に関する最適化規則、走行方針の決定に関わるグループ全体の意思決定に関してGroup Decisionの研究を行った。 車を模擬したロボカー(実車の1/10の大きさ)を利用して協調アルゴリズムを作成して走行実験を行った。加速度センサー、ジャイロセンサーを搭載し、走行中の加速度を記録して通信方式とセンサー性能および協調アルゴリズムを検証した。
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