センサーデータ構造:RFIDタグの中に蓄積したセンサー情報を効率的・確実に読み取る手法として、データを複数のRFIDタグに誤り訂正機能も付与して分散するバーチャルタグ方式を考案し、理論検討および実証によってその効果を確認した。バーチャルタグ方式では一つのRFIDタグに納めるデータを少なくし、さらに複数のRFIDタグに分散することで、読み取り誤りを少なくすることおよび、現実には回避することが難しいRFIDタグの読み漏らしを許容することができる。
無線プロトコル:パッシブ無線タグの通信方式を利用し、ワイヤレス・バッテリレスにセンサー情報を同時に送信するマルチサブキャリア多元接続方式を考案した。この方式は、リーダライタから供給されるCWに対して、センサ側でRFスイッチで一定周期でアンテナインピーダンスを変化させて発生するサブキャリアにデジタルあるいはアナログのセンサ信号を重畳するものである。各センサに異なるサブキャリアを割り当てると相互に干渉するが、干渉の影響はサブキャリア割り当てパターンによって予測できるので、受信側のソフトウェア無線処理で取り除くことができる。考案した手法は実験によってその性能を確認し、アナログセンサ信号の場合、SN比9dBの環境で90%の信号復元を実現した。
データスキーマレゾルバー: リーダライタの読み取り機能とクラウド上のサーバと連携させることで、アプリケーションが要望するセンサーデータ種別を集約するとともに、センサーデータのメモリ上での読み取り範囲をあらかじめ取得し、不連続な領域は統合して読み取りを行うなどの工夫をすることにより、効率的な読み取りを実現した。考案した手法は実験実証によって確認し、通信時間などのオーバーヘッドを考慮しても、集約による影響が効果的であることを示した(同じイベントを3回取得する際の時間がを1/2.5に短縮)。
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