研究課題/領域番号 |
24500096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
森野 博章 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50338654)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 無線メッシュ / VLAN / マルチキャスト |
研究概要 |
今年度はlayer2技術のみを利用した無線メッシュ網のマルチキャストとして以下の 擬似的なマルチキャスト手法の検討を行った.この手法の概略は以下の通りである. (1) 全APをN個の小グループに分け,各々のグループでグループ内のAPのみを接続するVLANツリーを合計N本構築しておく.さらに各グループで代表APを1台選出する. (2) マルチキャストセッションが開始されると,送信端末から送信されたデータパケットは,まず端末が所属するグループの代表APにユニキャストで送られる. (3) (2)で送信端末からパケットを受信した代表APは,その時点で受信端末が存在するグループの代表APにそれぞれユニキャストでパケットを中継する.(4) (3)でパケットを受信した各代表APは,VLANブロードキャストにてグループの全APにパケットを配信する この手法は網全体へのブロードキャストする,あるいは個別にユニキャストするのに比べリンク利用効率の大幅な向上が見込める.一方,個別ユニキャストと比べれば一般に送信端末・受信端末間の経路の総ホップ数が増加するため,増加を可能な限り抑えるためのグループ化手法について以下の2方式を取り上げ,シミュレーションによる評価検討を行った.(方式1)k-means法によりAPをN個のクラスタに分割して各々をグループとする方式.ここではクラスタ中心が代表APとなる.(方式2) 各APについて網全体での媒介中心性指標を算出してこの値の高い順にN個のAPを代表APとし,残りのAPは自らに最も近い代表APのグループに所属させる. 評価の結果,(方式2)が,網全体の総使用リンク数,送信端末・受信端末間の平均ホップ数の両者を低く抑えられる手法であることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では2つのサブテーマを設け,サブテーマ(a)では1 つのVLAN ツリーの内部において,ツリーの根のAP とマルチキャストメンバが存在するAP を結ぶリンクにのみパケットを中継し,他のツリーのリンクにはパケットを流さない手法の確立を,サブテーマ(b)では各リンクの品質を考慮し品質の高い木.低い木を判定するメトリックの確立をゴールとしてあげた.テーマ(a)の手法については,調査の結果,一般のVLANスイッチがサポートしているIGMPスヌーピングにより実現可能であることが判明したためテーマから外した.テーマ(b9については未だ成果が得られておらず,25年度に実験実施と並行して検討を行っていく予定である.テーマ(a)を課題から外した代わりに,APのグループ分け手法の検討を新たな課題として設定し,こちらについては一定の成果が得られた.全体として,提案手法の基本的な特性をシミュレーションにより明らかにするという目標が達成されたと判断し,達成度は(2)とした.
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今後の研究の推進方策 |
4台程度のVLAN スイッチを有線接続してメッシュ網のプロトタイプを構築し,この上で,前年度の成果である,グループ単位でのVLANツリーによる疑似マルチキャストに方式を実装する.マルチキャストセッションにおいてケーブルのポート差し替えにより送信端末および受信端末の移動を模擬的に発生させ,実装した機能の検証を行う. 検証が成功したら,各VLAN スイッチにタグVLANをサポートするAP と通常のAPをタンデムで接続し,さらにVLANスイッチ間の接続を有線から無線に変更する.AP間およびスイッチ間の無線リンクは指向性アンテナにより,AP と端末の間のリンクは無指向アンテナで構成する.このシステムで,受信端末を歩行速度程度で移動させ,無線でのハンドオフを行わせて,実装したAP 間の経路制御方式が無線環境でも正しく動作することを確認する.この実験は,5 名の学部生の協力を得て行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品としては以下を購入する(1) 無線LANアクセスポイント( SMA コネクタ付, タグVLANサポート)(16 x 3万円) (2) VLANスイッチ (4 x 3万円) (3) アンテナ用三脚(5 x 2万円) (4)指向性アンテナ (4 x 5万円) 合計 90万円 その他,成果発表のための旅費 10万円,実験アルバイト謝金 10万円(内訳: 5人 x 20時間 x1千円/時間)
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