当初、平成26年度実施の予定であった大規模ネットワークにおける符号化ノード最適配置と符号化パラメータ設定方法についての研究のうち、準最適符号化ノード配置のための経験則アルゴリズムについては、平成25年度までに検討が終っていた。平成26年度は、残っていた符号化パラメータ設定方法について、検討を行った。計画より研究の進捗が良かったため、当初計画に加えて、符号化を実施するデータの適切な選択手法、および現在世界的に研究が行われているコンテンツ指向ネットワークにネットワークコーディングを適用した場合の有効性についても、その基礎的な検討を行った。
符号化パラメータの検討としては、各ノードで実施する最適な符号量を求めた。符号化を実施すると、データの多様性が、元のデータに加えて、符号化後のデータが加わるために増加するが、この多様性が、ネットワークコーディングが転送効率を上げる理由であることは、前年までの検討で明らかになっていた。しかし、一定以上に多様性を上げても、その先は計算処理が増えるだけで、転送効率の向上にはならない。この最適な多様性を与える符号化量を解析的に求めた。
ネットワークの内部ノードでは、常に新たなデータが流入してくることになり、符号化を行う上で、どのデータに対して符号化をを行うかも、転送効率に影響を与えることが明らかになった。そこで、符号化を実施するデータの適切な選択手法について検討を行った。その結果、できるだけ新しく到着したデータも加えて符号化することが効率を上げることが判った。できるだけ新しいデータを加えて符号化を行うために、隣接ノードと情報をやり取りするプロトコルを提案した。提案プロトコルを使わない場合と比較し、提案プロトコルが転送効率を上げることをシミュレーションにより示した。
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