研究課題/領域番号 |
24500099
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西村 俊和 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (00273483)
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研究分担者 |
山田 喬彦 立命館大学, 理工学部, 非常勤講師 (00268161)
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キーワード | 小規模セル / セル連結 / PON / 仮想シングルセル |
研究概要 |
前年度実施報書に記載した本年度の重点研究課題は 1.異常時の動作解析と異常時の処理 2.移動通信網仮想シングルセルへの3G-LTEプロトコルの適用性検討 3.バックホール網へのPON(Passive Optical Network)の適用検討であった。本計画に従い、研究を進めたが、課題2の3G-LTEプロトコルの有効性が明らかになってきたため、課題1は課題2,3実施ののち、26年度の重点課題とした。 3G-LTE(Long Term Evolution)はスマートフォンなどに利用される現在の移動通信の主要なプロトコルである。仮想シングルセルと移動通信網との間のローミングや、仮想シングルセルの屋外利用、呼び出し時の連携を考慮すると仮想シングルエルと移動通信網は親和性の高いプロトコルが必要である。ただし、3G-LTE仕様をそのまま仮想シングルセルに適用することは困難であり、ハンドオーバの迅速的な実行が課題である。この課題に集中して検討した結果、連結した隣接セル間で予めハンドオーバ実行情報を予約しておき、ハンドオーバ実行の瞬間にスケジュールリクエスト信号でハンドオーバ実施を通告する手法の案を得て、信号会話の具体化を図った。 仮想シングルセルは隣接基地局間の通信による論理的結合で成り立つため、バックホール網はシステムの要となる。バックホール網は多数の基地局を収容するためFTTH(Fiber-To-The-Home)の手段として広く利用されるPONを適用できると経済的だと一般的に認識されてはいたが、遅延が大きいという理由で検討されてこなかった。平成25年度は具体的に仮想シングルセル用PONアーキテクチャの検討を行った。EPON(Ethernet PON)を対象に仮想シングルセルへの適用性を評価し、EPONの宛先指定法であるLLID(Logical Link ID)の修正で仮想シングルセルへの適用が可能であるとの知見を得て、プロトコルの具体化、性能評価を行った。1GbpsのGEPONを手寄与した場合、無線インタフェースは100Mbpsを利用できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PONの放送型下り回線の有効利用が可能なポーリング方式に着目し、そのパケット転送プロトコルと地上網ネットワーク機能の研究を進めていくことにする。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は以下の検討を行う。 1. 仮想シングルセルの異常時の動作(前年度からの移行) セルの重複、無線空乏などの異常状況への対処法、また、安定な無線領域での多重ポーリングからシングルポーリングへの移行、さらにアクセスポイントの瞬間的な移行ではハンドオーバとしない制御法などを検討する。 2. PONのスケジュール制御の検討 PONでは上り通信は時分割多重が行われ、スロットの切り替え時にはガードタイムが必要となる。実時間応答性を高めるためスロット幅を小さくして多重度を上げると効率が低下する。これを考慮してスロット幅、資源割り当て法の有効なアルゴリズム実現を目指す。 3. 総合システム化と評価 バックホール網と無線インタフェース制御について独立に検討を行ってきたが、両者を結合したシステム化を行い、性能等の評価を行う。 4. 外部インターネットとの接続法 仮想シングルセルは複数通信事業者で共同利用が行われると想定される。移動通信網がこのように利用されるのは初めてであり、課題分析と有効なアーキテクチャを示す。
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次年度の研究費の使用計画 |
2014年6月2日に発表予定の国際会議 World Telecommunications Congress 2014 (WTC 2014) は発表日が2014年度であるものの、実際には2013年度に会議参加のための学会登録費用ほか準備の出費が嵩み、相当額の赤字が発生することが予見されたため、年度内の一部の執行を中断したものである。 上述国際会議 WTC 2014での発表および予稿採録が内定しており、この発表への予算執行が中心となる。
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