研究課題/領域番号 |
24500103
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
藤本 忠博 岩手大学, 工学部, 准教授 (00312512)
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キーワード | ビデオベースCG / イメージベースCG / パノラマ映像 / 自由視点映像 / ネットワーク / PCクラスタ / カメラアレイ / カメラ校正 |
研究概要 |
本研究では、3次元空間上の広範囲で自由度の高い自由視点移動を可能とする新たなビデオベースCG技術の開発を目的とする。平成25年度は、当初、「全周パノラマ映像からの自由視点映像の生成法の開発」を目的としてカメラクラスタネットワークを開発予定であった。しかし、平成24年度末の実施状況報告書に記載したように、平成24年度に完成予定のカメラクラスタに幾つかの問題が発見されたため、平成25年度はその解決を優先し、以下を実施した。 1 カメラ校正によるパノラマ映像の精度向上 平成24年度は、カメラクラスタを構成する複数のカメラの映像をパノラマ映像とするため、カメラ映像上の共通特徴点から推定したホモグラフィ行列を利用する方法を採用した。しかし、奥行きの異なる多くの物体が映像中に存在する場合に不具合が生じた。そこで、平成25年度は、カメラ校正によって各カメラのパラメータを正確に推定して高精度なパノラマ映像を生成する方法を検討し、開発を進めた。現状のカメラクラスタでは、水平視野約120度の広角レンズを装着した8台のカメラを水平面上で外向きに放射状に配置している。しかし、広角レンズによるカメラ映像の歪みを主な原因として、現時点でも高精度のパノラマ映像の生成には至っていない。 2 多様なカメラ配置による自由視点映像の生成 現状のカメラクラスタは8台のカメラを水平面上で配置し、水平方向の自由視点移動を目的としている。しかし、より自由度の高い自由視点移動のためには、垂直方向も含めた多様なカメラの配置を実現する必要性が生じうる。そこで、20台のカメラを2次元格子状に配置したカメラアレイを構築し、焦点面による注目物体の抽出を伴う自由視点映像の生成法を開発した。これにより、自由視点移動の自由度の向上に加え、自由視点映像中の物体に3次元的な立体感を与える方法の知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の申請時点での研究計画と比べると、平成24、25年度をカメラクラスタ単体の開発に費やしており、当初に予定していたカメラクラスタネットワークの開発には至っておらず、進捗がやや遅れていると言わざるを得ない。しかし、本研究においては、より高精度のパノラマ映像を生成するカメラクラスタの実現が最も重要な事項の一つであり、その開発過程で様々な問題点が発見できたことは本研究を実施した大きな意義の一つと考えている。その問題点の解決を新たな課題とし、当初の計画を適宜変更して平成26年度の研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度に引き続き、カメラ校正によってカメラクラスタを構成する各カメラのパラメータを正確に推定してパノラマ映像の精度向上を実現する手法の開発を行う。特に、現状の水平視野約120度の広角レンズのパラメータを高精度に推定する方法を検討し、必要に応じてカメラクラスタの構成自体の変更も検討する。また、複数のカメラクラスタのネットワーク接続によるカメラクラスタネットワークの開発を進める。さらに、カメラアレイの開発で得られた知見も利用し、広範囲の自由度の高い自由視点移動を可能とする高精度な自由視点映像を生成する手法を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進捗の遅れにより、本来は学会発表のための旅費として使用する予定であった額が使用できなかった。 次年度使用額(25万円)は学会発表のための旅費として使用する予定である。平成26年度請求額(60万円)は、35万円を物品費(PC、カメラ、それらの周辺機器、その他の機材や消耗品など)、25万円を学会発表のための旅費として使用する予定である。
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