本研究では、3次元空間上の広範囲で自由度の高い自由視点移動を可能とする新たなビデオベースCG技術の開発を目的とする。平成24、25年度に発見された問題などから、当初の計画を見直し、平成26年度は以下を実施した。 1.自由視点パノラマ映像の生成 パノラマ映像の生成方法として、平成25年度からのカメラ校正で推定したカメラパラメータを利用する方法の開発を継続し、平成26年度は視点移動に対して奥行きの異なる物体を正確に表示する自由視点パノラマ映像の生成を行った。8台のカメラによるカメラクラスタにおける「水平視野約120度の広角レンズによるカメラ映像の歪み」と「視線方向の角度差45度の隣接カメラ映像上の共通点の対応付け」という問題の解決を目指し、推定したカメラパラメータを用いて、(1)各カメラ映像の歪み補正、(2)隣接カメラ映像の平行化、(3)エピポーラ幾何を利用したステレオマッチングによる共通点の対応付け、という処理により物体の奥行き推定を伴う自由視点パノラマ映像の生成を行った。 2.離散画像間の自由視点画像の生成 複数のカメラクラスタのネットワーク接続によるカメラクラスタネットワークの実現に向けた基礎技術として、同じシーンを離れた位置から撮影した複数のカメラ画像からスムーズな視点移動を可能とする自由視点画像の生成法を開発した。(1)各カメラ画像からAffine-SIFTにより抽出した特徴点を制約としてStructure from Motionによってカメラパラメータと3次元点群を推定する、(2)ビューモーフィングによるカメラ画像の補間によって自由視点画像を生成する、という処理による方法を実現した。 カメラクラスタネットワークの開発までには至らなかったが、その実現のための様々な知見や解決すべき問題が発見された。本研究の成果を生かし、今後も研究を継続する予定である。
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