研究課題/領域番号 |
24500111
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
古賀 久志 電気通信大学, 情報システム学研究科, 准教授 (40361836)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | グラフ / 類似検索 / ハッシュ法 / コンテンツベース画像検索 / 前景抽出 |
研究実績の概要 |
今年度も(1)構造ベース画像処理と(2)グラフの類似検索用ダイジェストの生成という2つのテーマに取り組んだ。 構造ベース画像処理については、まず、頻出する類似部分グラフ構造をマイニングすることで、大量画像群からオブジェクトを自動発見する提案手法について研究成果を論文にまとめ、採択率約50%の国際会議に採択された。 次に、グラフカットを用いた動画からの自動前景切り出しシステムの機能拡張に取り組んだ。具体的には、固定カメラで撮影した動画だけではなく移動カメラで撮影した動画も取り扱えるように、本研究課題においてこれまで開発してきたシステムを拡張した。さらに、オプティカルフロー(動きベクトル)が持つ不安定性に注目し、不安定なオプティカルフローを使わずにグラフカットをやり直すことで切り出し精度を向上させることに成功した。オプティカルフローは連続した2フレーム間で画素ブロックを追跡することにより計算される。しかし、移動物体の後方に背景が隠れた場合、背景の追跡が行えなくなって不安定になる。我々の手法では、時間の正方向と時間の負方向の2種類のオプティカルフローを計算し、正方向オプティカルフローと負方向オプティカルフローが対称性を持つかどうかで、不安定なオプティカルフローを検出して除去する。本研究成果は情報処理学会CVIM研究会で発表した。 さらに、昨年度から引き続いて、類似画像検索の構造情報を利用した精度向上に取り組んだ。今年度は、最先端の既存手法との性能比較実験を実施し、提案手法の方が優れた性能を達成することを定量的に示した。本研究成果は現在、査読付き国際会議に投稿中である。 グラフの類似検索用ダイジェストの生成については実装を完了したが、期待通りの性能が出なかったため、既存手法の長所は踏襲するように設計の改良を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
構造ベース画像処理については、これまでの研究期間で3つのテーマに関して査読付き国際会議への投稿を完了し(うち2件採録発表済で、1件は現在査読中)、ほぼ本研究課題応募時に想定していた研究成果を実現できたと考えている。 グラフの類似検索用ダイジェストの生成に関しては、まだ期待通りの検索精度を実現できていないが、改良するためのアイデアは着想できたという状況である。以上から、おおむね順調に進展していると判定する。
|
今後の研究の推進方策 |
構造ベース画像処理については研究を完了したので国際会議で研究成果を発表するだけにとどめ、最終年度はグラフに対する類似検索用構造ダイジェストの設計に集中して研究を推進する。短期間で研究成果を出すべく、完全にオリジナルな方式を提案するというよりも、従来手法の長所を踏襲しつつ欠点を改良するという研究スタイルに変更して研究を進めている。現在、従来手法の実装と短所の分析まで完了した。また、実装に要する期間を短縮するべく、当講座所属の大学院生に研究協力者としてプログラム実装にご協力いただく。また、実験評価については人工データを使うことで、短期間で提案手法の評価を完了させる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国際会議での成果発表を2件予定していたが、研究進捗が予定より2ヶ月遅れたため、平成26年度内には1件しか発表できなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
現在、残りの1件の成果はついては、他手法との比較実験結果を充実させて国際会議に投稿中で査読を受けている状況である.これが採録された場合に、旅費、学会登録費として使用する。
|