研究課題/領域番号 |
24500112
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
吉田 俊之 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50240297)
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キーワード | 動画像符号化 / 階層符号化 / 画質制御 / レート制御 / MOS / H.264 |
研究概要 |
平成25年度は,(1)階層符号化各層において時空間EMOSを最大化するレート制御法の実現と実装,および(2)各層への画質平坦化法の適用について研究を行なった. (1)については,前年度に構築した各層の時空間EMOS推定手法を用いることで,階層符号化各層におけるEMOS最大点の軌跡が求められるため,ベースレイヤから出発し,この軌跡に沿って時間スケーラビリティおよびSNRスケーラビリティあるいはその両方を選択して上位層を構成することで,階層符号化における時空間レート制御法を実現した.また,これを実際のH.264符号化器に実装し,EMOS最大化に基づく階層符号化器を実現した.以上により,任意の階層数および各階層に対する任意のビットレートで,各層のEMOSを最大化する定ビットレート(CBR)階層符号化が実現される. しかしながら,各層をCBR符号化すると,画像シーン間での時間空間アクティビティの変動により,その画質,すなわちEMOSが大きく変動する問題が残される.そこで,階層符号化各層に(2)の画質平坦化手法を適用し,各層に与えられた平均ビットレートの下で対象全シーン中の最低EMOSを最大化することにより,シーン間の画質変動を抑える検討を行なった.具体的には,階層符号化各層に比較的大きなバッファを持たせ,バッファリング可能な範囲で各シーンに与えるビットレートを変化させることで,平均ビットレート一定の下で対象シーン中の最低EMOSの最大化を実現した. 以上により,平成25年度に計画した上記(1)および(2)の研究を完了した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画で平成25年度の課題として挙げた,(1)階層符号化各層において時空間EMOSを最大化するレート制御法の実現と実装,(2)各層への画質平坦化法,の各課題はほぼ達成されており,これより「おおむね順調に進展している」と判断される.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である平成26年度は,平成25年度までに得られた時空間EMOSを最大化する階層符号化器,およびその画質平坦化法を多くの試験動画像に適用し,提案手法の有効性を検証する.また,これまで,階層符号化において画質改善方向(時間スケーラブル/SNRスケーラブルのどちらにビット量を割り当てるか)を対象画像の性質からシステマティックに決定する方法は提案されておらず,本手法はこのような決定手法を与える初の手法であるため,本手法を用いて,対象画像の性質と画質改善方向との関係や,階層符号化に適した動画像の性質等について検証を進める予定である.以上により,本研究で目指す手法の優位性・有効性を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度の未使用額と本年度の予算を併せ,画像符号化実験を行うための試験画像データを購入する予定であったが,配布元の学会から,試験画像データの一部を無償配布する予定である旨の情報が得られ,本年度の購入を見合わせたため. 今年度の研究を行う上で試験画像データは必要不可欠であるため,昨年度までの未使用分を用いて当該試験画像データを購入する.
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