研究課題/領域番号 |
24500130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
向井 信彦 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (20350233)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 可視化 / グラフィクス / バーチャルリアリティ |
研究概要 |
大動脈弁にかかる応力分布の可視化を行うためには、大動脈弁の形状モデルを作成し、作成されたモデルを用いて大動脈内における血流と、血流により開閉する大動脈弁のシミュレーションが必要である。そこで、平成24年度はCT(Computed Tomography)画像を基にした人体の3次元表示を行うと共に、3次元化された人体画像から大動脈壁を自動抽出する手法を考案した。ただし、本シミュレーションで最も重要な大動脈弁はCT画像では撮像されない。そこで、超音波画像を用いて大動脈弁の動きを調べることで大動脈弁の形状を把握した。しかしながら、超音波画像でもシミュレーションに必要なモデルが作成できるほど明瞭な画像は得られない。このため、超音波画像だけでなく、医学書などの文献を用いて大動脈弁の詳細形状を調べ、モデリングソフトを用いて大動脈弁の形状モデルを作成した。 また、本研究では大動脈弁にかかる応力分布の可視化を目的としているため、大動脈内における血流と血流により開閉する大動脈弁のシミュレーションが必要である。血液は流体であるため、容易に形状が変化するだけでなく、結合や分裂を頻繁に繰り返すため、位相が時々刻々と変化する。このため、血流のシミュレーションは一般的な有限要素法よりも、物質を大量の粒子の集まりとして考える粒子法が適している。しかしながら、血液のみを粒子法で解析し、大動脈壁や大動脈弁を有限要素法で解析したのでは、これらの物質間における力の計算や干渉チェックが煩雑である。そこで、本研究では流体である血液だけでなく、弾性体である大動脈壁や大動脈弁も粒子で構成する必要があるため、CT画像から自動抽出された大動脈壁や、モデリングソフトで作成された大動脈弁の形状モデルに対して、モデル内部を多数の粒子で埋めることにより、本シミュレーションに必要な全ての形状モデルを粒子で構築することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初における「平成24年度の研究計画」に従い、ほぼ計画通りの成果を達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
申請当初の計画通り、平成25年度は粒子法を用いたシミュレーション手法について検討する。特に、血流の挙動解析には流体力学で用いられているナビエ・ストークスの方程式を用いたシミュレーションが必要である。しかしながら、本研究では流体である血液のみならず、弾性体である大動脈壁や大動脈弁も粒子を用いたシミュレーションを行うため、流体と同じナビエ・ストークスの方程式を用いることになる。ただし、流体と弾性体とでは物体の性質が異なるため、物質の違いは構成方程式を用いて解析する。 平成26年度は平成25年度に考案したシミュレーションアルゴリズムに従って、血流に伴う大動脈弁の変形と大動脈弁にかかる応力分布の可視化を行う。ただし、計算機上でのシミュレーションがどれだけ正確なものであるのかは、医療現場からの評価が必要であるため、研究成果を共同研究先である榊原記念病院成人心臓血管外科部長である高梨秀一郎医師に医学的な検知からの評価をして戴く。
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的には平成24年度における研究成果を発表するため、学会費や論文誌投稿費として使用する。また、平成25年度はシミュレーションアルゴリズムの考案だけでなく、シミュレーション結果も出せるよう、GPU(Graphics Processing Unit)を複数搭載可能なPCの構築費用として利用する。
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