研究課題/領域番号 |
24500130
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
向井 信彦 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (20350233)
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キーワード | 可視化 / グラフィクス / シミュレーション / バーチャルリアリティ / 医療応用 |
研究概要 |
平成25年度は、平成24年度にCT(Computed Tomography)画像および医学書などを参考にして作成した大動脈モデルに対して、連続の式およびコーシーの運動方程式を適用することにより、血流と大動脈弁の開閉シミュレーションを行った。 大動脈壁および大動脈弁は弾性体、血液は流体であり、それぞれ材質が異なるため本来は弾性体に有限要素法を、また、流体には粒子法を適用するのが通例である。しかしながら、本研究は大動脈弁にかかる応力分布を調べて可視化することに主眼を置いているため、大動脈壁および大動脈弁が血流から受ける力の影響を計算する必要がある。このとき、有限要素法と粒子法という異なる手法を適用すると、大動脈壁や大動脈弁に対する血流からの力の計算が困難となる。そこで、本手法では弾性体である大動脈壁や大動脈弁も、流体である血液も共に細かな多数の粒子で構成されるモデルを考え、大動脈壁や大動脈弁、および血流の挙動解析手法として粒子法を採用した。ただし、弾性体と流体とでは同じ力と受けたとしても変形量は異なるため、この挙動の違いを表現するためには応力とひずみの関係式である構成方程式を導入する必要がある。各構成方程式をコーシーに運動方程式に適用すると、弾性体の支配方程式としてコーシー・ナビエの式が、また、流体の支配方程式としてナビエ・ストークスの方程式が得られ、これらの方程式を用いてシミュレーションを行った。 シミュレーションでは、左心室側から大動脈側に血液を流したところ、血流に従って大動脈弁が開閉する様子を表現することができた。また、血液は正弦波に従って流すことにより、初期速度は遅く、徐々に血流速度は速くなり、大動脈弁が開いて血流速度が最大に達した後、再び血流はゆっくりと流れる様子を表現することも可能となった。 今後は大動脈弁にかかる応力を可視化し、医学的な見地からの評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初における「平成25年度の研究計画」に従い、ほぼ計画通りの成果を達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
申請当初の計画通り、平成26年度は粒子法を用いたシミュレーションにより得られる大動脈弁にかかる応力の可視化を行うと共に、医学的な見地からの評価を行う。本研究は生体の大動脈内における血流と血流に伴う大動脈弁にかかる応力の可視化を目的としている。しかしながら、生体の大動脈内における血流の速度や圧力、さらには大動脈弁にかかる応力などを計測することは非常に困難である。そのため、実際に手術を行っている医師による評価、および超音波画像などの医療データを基にした評価を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果の発表を計画していたが、成果発表よりも研究の遂行を優先したため。 研究の遂行を優先したため、研究成果は出ている。このため、今年度は計画通り、研究成果の発表を行い、予算も予定通り使用する計画である。
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