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2012 年度 実施状況報告書

コンピュータホログラフィの技術基盤形成

研究課題

研究課題/領域番号 24500133
研究種目

基盤研究(C)

研究機関関西大学

研究代表者

松島 恭治  関西大学, システム理工学部, 教授 (70229475)

研究分担者 中原 住雄  関西大学, システム理工学部, 准教授 (90067760)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード3次元画像 / ホログラフィ / 応用光学・量子光工学 / ディスプレイ
研究概要

本課題で掲げる三つの部分課題毎の実績は次のとおりである.
(I) 【ホログラム再生像のカラー化技術】RGB積層型ホログラムによるカラー化の基礎研究として, 3枚のホログラムをRGBのダイクロイックミラーを用いて作成した準単色光で照明し,それらを重ねてフルカラーホログラムを合成する研究を行った.その結果,各色のホログラムの設計波長を,準単色照明光スペクトルの積分値を2等分するような値に設定すると最も色収差が減少することを見出した.また,同様にRGB積層型ホログラムの基礎研究として,ダイクロイックフィルタの薄膜のパターンとして干渉縞を描画する実験に着手した.その結果,再生像を確認することができたが現時点では再生効率が低いことがわかった.
(II) 【3Dシーン入力素材の多様化とレンダリング技術】本年度は,多視点画像,特に風景写真の水平方向視差画像から3Dシーンの背景としてホログラフィックステレオグラムを数値的に生成し,その前方にポリゴンモデルの仮想物体を合成する実験を行った.その結果,従来は視差のない平面画像であった3Dシーンの背景に視差をもたせることが可能であることを確認した.実在物光波をデジタルホログラフィによって取得する場合は,その物体像を拡大・縮小してシーン内に配置できるようになった.
(III) 【ホログラム合成のソフトウェア技術】本年度は,本格的なホログラム合成アプリケーションツールのシステム設計と初期バージョンの実装を行った.ここでは,コンピュータホログラフィの種々の技術が未だ研究段階であることを考慮し,非専門家であるデザイナーとコンピュータホログラフィの専門的研究者の両者が共に使いやすいシステムを目指している.そのため,デザインとレンダリングアルゴリズムの分離によりデザインの再利用やレンダリング専用エンジンの開発が可能であるようにシステム設計を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体としては順調と評価しているが,個々の課題ごとに多少のばらつきがある.
(I) 【ホログラム再生像のカラー化技術】やや遅れている.イメージ型のバイナリホログラムの再生像で表面輝度の情報が失われる問題については,ホログラム用に最適化した拡散係数を用いた誤差拡散で解決の目途が立った.また,ダイクロイックミラーを用いてカラー再生する研究は一定の成果を得たが,積層型を作成するためのリソグラフィ技術が不十分であり,積層する目途が立っていない.
(II) 【3Dシーン入力素材の多様化とレンダリング技術】おおむね順調.ホログラフィックステレオグラムのシーンへの埋め込み,および実在物光波の処理による実在物の拡大縮小編集ができるようになった.
(III) 【ホログラム合成のソフトウェア技術】おおむね順調.ホログラムレンダリング用ツールの設計が順調に進み,その実装も進んでいる.一方,レンダリングの高速化については,小型のものはGPUで高速化できるようになったものの,高解像度ホログラムについては特段の進歩はない結果になった.

今後の研究の推進方策

(I) 【ホログラム再生像のカラー化技術】積層型カラーホログラムの研究を推進するため,カラーフィルター薄膜への干渉縞パターン描画技術を完成する必要がある.そのためには,カラーフィルター薄膜へのレジストの塗布方法,露光方法,エッチング方法を改良する必要がある.これらは,いずれも条件出しが問題となるため,多数の試料を用いて試行する.
(II) 【3Dシーン入力素材の多様化とレンダリング技術】前年度のホログラフィックステレオグラムが水平方向視差のみであったので,水平方向と垂直方向の両方の視差を有する多視点画像を埋め込む.また,実在物体光波の埋め込みに関しては,複雑な形状をした物体についてオクルージョンエラーを低減するアルゴリズムを開発する.
(III) 【ホログラム合成のソフトウェア技術】レンダリングツールを実際に非専門家のデザイナーにより使用してもらい,ユーザビリティの確認とフィードバックを行う.また,3DシーンのデザインデータであるXMLを読み込み,高速に物体光波数値合成を行うレンダリングエンジンを開発する.

次年度の研究費の使用計画

二人がそれぞれ2回の海外出張で70万円程度を使用し,残りはほとんどを消耗品として使用する予定である.
なお,本年度144,799円の繰越金が生じたが,これは2月に海外での招待講演を受けたため前倒し請求を行ったが,海外出張費が予想よりも少なくてすんだためである.

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 光源スイッチング方式時分割ホログラフィックディスプレイ2013

    • 著者名/発表者名
      松田篤史, 松島恭治
    • 雑誌名

      電子情報通信学会論文誌D

      巻: J96-D ページ: 381-388

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Simple wave-field rendering for photorealistic reconstruction in polygon-based high-definition computer holography2012

    • 著者名/発表者名
      K. Matsushima, H. Nishi, S. Nakahara
    • 雑誌名

      J. Electron. Imaging

      巻: 21 ページ: 023002

    • DOI

      10.1117/1.JEI.21.2.023002

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 超高解像度CGHにおけるBabinetの原理と部分光波伝搬を用いた隠面消去法2012

    • 著者名/発表者名
      中村 将樹, 松島恭冶, 中原住雄
    • 雑誌名

      映像情報メディア学会誌

      巻: 66 ページ: J136-J143

    • DOI

      10.3169/itej.66.J136

    • 査読あり
  • [雑誌論文] コンピュータホログラム「Brothers」制作記 ― MITミュージアムでのCGH展示を目指して -2012

    • 著者名/発表者名
      松島恭治
    • 雑誌名

      HODIC Circular

      巻: 32 ページ: 31-40

  • [雑誌論文] コンピュータホログラフィの現状―MITミュージアム展示用ホログラムの制作を通して―2012

    • 著者名/発表者名
      松島恭治, 中原住雄
    • 雑誌名

      関西大学先端機構ニュース

      巻: 38 ページ: 4-4

  • [学会発表] Wave-field rendering in computer holography: a way of creating the perfect 3D digital image

    • 著者名/発表者名
      K. Matsushima, S. Nakahara
    • 学会等名
      Electronic Imaging 2013
    • 発表場所
      Burlingame (USA)
    • 招待講演
  • [学会発表] Taking advantage of virtual optics in computer holography

    • 著者名/発表者名
      K. Matsushima, D. Fujita, Y. Yoshizaki, S. Nakahara
    • 学会等名
      HODIC in Taiwan 2013: Symposium for Holographic Display Technology and Art
    • 発表場所
      Tainan (Taiwan)
    • 招待講演
  • [学会発表] Computer holography: 3D digital art based on high-definition CGH

    • 著者名/発表者名
      K. Matsushima, S. Nakahara, Y. Arima, H. Nishi, H. Yamashita, Y. Yoshizaki, K. Ogawa
    • 学会等名
      International Symposium on Display Holography 2012
    • 発表場所
      Boston (USA)
  • [学会発表] 体積型CGH描画用波面プリンタのための空間光変調器を用いた複素振幅書き込みの基礎研究

    • 著者名/発表者名
      西井 渉, 松島恭治
    • 学会等名
      Optics & Photonics Japan 2012
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都)
  • [学会発表] デジタイズドホログラフィにおける仮想光学系を用いた物体光のデジタル拡大/縮小編集

    • 著者名/発表者名
      藤田大知, 松島恭治, 中原住雄
    • 学会等名
      Optics & Photonics Japan 2012
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都)
  • [学会発表] 仮想光学系で生成したホログラフィックステレオグラムを用いたコンピュータホログラム

    • 著者名/発表者名
      吉崎 裕, 松島恭治, 中原住雄
    • 学会等名
      Optics & Photonics Japan 2012
    • 発表場所
      タワーホール船堀(東京都)
  • [学会発表] コンピュータホログラフィのための物体光波合成/編集ツールの開発

    • 著者名/発表者名
      村田峻平, 松島恭治
    • 学会等名
      平成24年第3回ホログラフィック・ディスプレイ研究会
    • 発表場所
      日本大学船橋キャンパス(千葉県)
  • [学会発表] 多視点画像を3Dシーン内に埋め込んだ超高解像度CGHの作成

    • 著者名/発表者名
      吉崎 裕, 松島恭治, 中原住雄
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2012
    • 発表場所
      早稲田大学 西早稲田キャンパス
  • [学会発表] スペクトル評価型誤差拡散を用いたイメージ型CGHのバイナリコーディング

    • 著者名/発表者名
      山下裕士, 松島恭治, 中原住雄
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2012
    • 発表場所
      早稲田大学 西早稲田キャンパス
  • [学会発表] デジタル化ホログラフィにおける実物体像の拡大・縮小編集

    • 著者名/発表者名
      藤田大知, 有馬恭旭, 松島恭治, 中原住雄
    • 学会等名
      3次元画像コンファレンス2012
    • 発表場所
      早稲田大学 西早稲田キャンパス
  • [学会発表] :物体光波のデジタル拡大/縮小編集を用いた高解像度CGHの作成

    • 著者名/発表者名
      藤田大知, 有馬恭旭, 松島恭治, 中原住雄
    • 学会等名
      平成24年第2回ホログラフィック・ディスプレイ研究会
    • 発表場所
      千葉大学西千葉キャンパス
    • 招待講演
  • [備考] 研究成果発表

    • URL

      http://www.laser.ee.kansai-u.ac.jp/Publish.html

  • [備考] コンピュータホログラフィと波動光学計算支援ツールキットの公式サイト: WebField Tools

    • URL

      http://www.laser.ee.kansai-u.ac.jp/WaveFieldTools/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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