研究課題/領域番号 |
24500134
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
灘本 明代 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (30359103)
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研究分担者 |
熊本 忠彦 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (30358890)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感情分析 / 感情軸 / ツイート / SNS / ソーシャルメディア |
研究概要 |
今年度は,ツイートの感情分析とFacebookやmixi等のソーシャルネットワークシステム(SNS)から耳より情報を抽出する手法研究の大きく分けて2つの研究を行った. ①ツイートの感情分析では,ニュースに対するツイート及び,映画に対するツイートを対象とし,「楽しい」「悲しい」「嬉しい」「怒り」「のどか」「緊迫」の6つの感情軸における感情分析を行った.この時,以前熊本が作成した新聞記事から抽出した印象語辞書を用いて感情分析を行うと共に,現状の問題点を洗い出した.ニュースに対するツイートの感情分析では,上記6つの感情において分析を行った.その結果,新聞記事を元にした辞書では,ある程度ツイートの感情が抽出するものの,はっきりとした感情を抽出することが困難であり,ツイート特有の単語等を踏まえた辞書作成が必要であることが判明し,今後の課題となった.映画に対するツイートの分析では,その特徴として,顔文字を使って感情を出している事がわかった.そこで,顔文字の感情分析を行った.その結果,同じ顔文字でもツイート内の文との関係で,感情が異なってくることがわかった.そこでさらに,顔文字を利用したツイートの感情分析として,顔文字を「強調」「自嘲」「弛緩」の3つの役割に分類し,その役割毎にツイートの感情分析を行うことを提案した. ②SNSから耳より情報を抽出する手法では,ユーザがお得や耳よりと感じる情報をP/N(ポジティブ,ネガティブ)に分類しながら提示する手法の提案を行った.ここで提案している耳より情報とは,ユーザの経験に基づいた情報であり,我々の提案する耳より情報を含んだコメントである.これらのコメントをP/Nに分類することにより,ユーザによりわかりやすい耳より情報を提示することが可能となった. 今年度の成果として,国際会議3本,国内査読付き1本,国内会議2本の発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では,H24年度は,これまで作成してきた5年間の新聞記事及び3万の名言からの感情語句を用いて,Webの感情分析を行い,その問題点を洗い出すことを目的としてきた. 実際には,これらの辞書を用いて,ニュース及び映画に対するツイート及びSNSのコメント群を対象とし分析をした. これにより,ツイートの場合,Twitter特有の単語や顔文字がツイートの感情分析に大きく左右することがわかった.そこで,H24年度はさらに研究をすすめて,ツイートの顔文字に注目し,顔文字の感情分析を行った.また,顔文字とツイートを構成する文から顔文字の役割に注目し,この役割に基づいた感情分析の手法の提案も行った.研究計画の段階では,文を構成する単語のみから感情を抽出することを計画していたが,実際の研究ではこのように顔文字の感情分析を行うことができ,より感情を抽出しやすくなった. また,SNSの感情分析では,SNSのコメント群から経験に基づいた耳より情報を抽出し,その耳より情報をポジティブ・ネガティブに分類することにより,ユーザにとってお得と思われる情報をわかりやすく提示する手法の提案を行った.SNSを対象とした感情分析は,本研究は当初の計画には含まれておらず,研究計画よりもさらに一歩進めた研究をH24年度は行うことが出来た.
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今後の研究の推進方策 |
H24年度は研究代表者灘本と分担者熊本とで打ち合わせを行い研究を遂行してきたが,H25年度はさらに密に連携を強めて研究を進めてゆく.具体的には以下の2つの研究を遂行する. ①H24年度ではこれまで作成してきた「楽しい」「悲しい」「嬉しい」「怒り」「のどか」「緊迫」の6つの感情について分析を行ってきたが,実際にはこの6軸ではなくさらに6軸「おもしろい」「つまらない」「楽観的」「悲観的」「驚き」「ありふれた」の感情が必要であると思われる.そこで,H25年度は新聞記事等からこの新たな6軸を対象とし,ユーザ実験を行い辞書の作成を行う. ②H24年度において,Twitterで使用されている顔文字の分析を行ってきた.ここでは顔文字の役割に注目し,その役割毎に重みをつけて感情分析を行う手法の提案を行った.しかしながら,この重みについては十分な実験に基づく結果ではないため,H25年度には実験を行い,これら重みについて再考を行う.さらに,Twitter特有の単語についてはH24年度では取り扱ってこなかった.そこでH25年度はTwitter特有の単語の感情辞書作成も行って行く.
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額(B-A)」は74,330円である.本費用については,H24年度の研究成果の発表の為の交通費(東京-大阪)と学会参加費で使用予定である.
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