研究課題/領域番号 |
24500134
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
灘本 明代 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (30359103)
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研究分担者 |
熊本 忠彦 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (30358890)
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キーワード | 感情分析 / Twitter / 顔文字 / 感情語辞書 |
研究概要 |
非定常的感情分析として,気楽に自分の気持ちを表現することが可能なTwitterを対象とし,Twitterの感情分析を行った.具体的には,(1)Twitter上で用いられている顔文字の感情分析と(2)きたああああ等の繰り返しによる絶叫を示したTwitter特有の繰り返す単語の感情分析を行った. 顔文字の感情分析においては,20代から50代のユーザ男女各10名合計100名を対象としたユーザ実験を行い,顔文字の感情値を「喜」,「好」,「安」,「哀」,「厭」,「怖」,「怒」,「恥」,「昂」,「驚」の10軸の感情軸にそって定量化を行った.さらに実験結果と定量化された顔文字の値から,顔文字を「強調」「弛緩」「転置」「付加」の4つ役割を決定し,この役割の重みを求め,これらを用いて顔文字付きツイートの感情値抽出手法の提案を行った. Twitter特有の繰り返す単語の感情分析では,テレビ番組や映画を見ながらリアルタイムにツイートしているものを対象とし,繰り返し表現が付加されたツイートの感情分析を「喜」,「好」,「安」,「哀」,「厭」,「怖」,「怒」,「恥」,「昂」,「驚」の10軸の感情軸にそって行った.そして,ユーザが閲覧している番組の感情の盛り上がりを可視化し,これによりその番組の見所を抽出する手法の提案も行った. また,上記のようにTwitterの感情を定量化するに当たり,ツイートは様々なしゃべり言葉が多く含まれているため,これまでの新聞から生成した感情語辞書では,うまく感情を定量化することができなかった.そこでレビューサイトを用いた感情語辞書も作成した.この作成した辞書を用いて感情分析を行うことにより,感情値の精度を上げることができた. 今年度の研究成果として,国内会議にて論文5本を発表した.また,これら感情抽出の技術を利用した応用研究として論文誌2本査読付き国際会議1本を発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では,今年度大規模ユーザ実験を行い非定常的な感情の定量化を行う予定であった.これに対し,今年度は顔文字付きツイートの感情実験として,10-50代の男女10名合計100名のユーザ実験を行い,計画通りに進んでいる.また,感情語辞書もtwitterに用いられている単語に対応できるように新たに構築し,この点においては計画よりも進んでいると言える.さらに,文書から感情を抽出する技術を応用したシステムを研究開発していることより,当初の計画以上に進んでいるといえる,
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は最終年度であることもあり,これまで分析を行ってきたtwitterの感情分析をさらに進めると共に,これまでの研究成果である感情語辞書,顔文字辞書,Twitter特有語辞書を用いた情報検索への応用も行う. 具体的には,H25年度に提案した顔文字の役割を用いた感情抽出の大規模ユーザ実験を行い,提案手法の有用性を示す. また,これまでの研究成果である感情語辞書,顔文字辞書,Twitter特有語辞書の内,感情語辞書の拡張も行い,これらの辞書を用いて,ユーザの感情に基づく情報検索の研究も行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度ツイートの為の印象語辞書を生成するために大規模実験を2回行う予定であったが,1回で満足する結果及び印象語辞書が作成できたため,次年度使用額が生じた. H26年度は今年度で未使用であった金額を予算額に加算して,大規模実験による顔文字辞書作成及び,これら辞書を用いたツイートの印象抽出手法の有用性をはかる大規模ユーザ実験を行う.
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