研究課題/領域番号 |
24500137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
山地 一禎 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (50373379)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リポジトリ / Eサイエンス / 学術コンテンツ流通 / サプリメンタルデータ / SAML / シングルサインオン |
研究概要 |
本年度は、論文と紐づく成果公開プラットフォームの開発を実施した。従来の研究で、申請者は文献の登録をベースとしたリポジトリシステム「WEKO」の構築に取り組んできた。このWEKOをベースとし、サンプリメンタルデータを登録するリポジトリ(サプリメンタルリポジトリ)を構築することができるシステムへと拡張した。 具体的には、まず、文献リポジトリとサプリメンタルリポジトリを連動させ、文献に関するサプリメンタルデータを研究者自身がセルフアーカイブできるフレームワークへと拡張した。次に、サンプリメンタルデータの登録を容易にするために、HTML5を採用した登録UIの改良を行った。サプリメンタルデータの登録では、その操作性を高める目的で、複数のファイルをドラッグ&ドロップにて簡便に登録できるインターフェースを装備した。また、コンテンツのハンドリングを最適化することを目的に、HTML5 とフラッシュを融合するインターフェースを構築した。サプリメンタルリポジトリのバックエンドとして、フラッシュ変換サーバを用意することで、登録したコンテンツをインスタントに描画できるようにした。これにより、エンドユーザにコンテンツを直接ダウンロードさせたくない利用形態が満足できることになる。さらに、各リポジトリシステムを、SAML 認証に対応させた。この認証機構の導入により、文献リポジトリとサプリメンタルリポジトリをシングルサインオンによりシームレスに利用できる環境へと改良した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、サプリメンタルデータと呼ばれる論文の補遺となる研究資源を共有するための、次世代の学術コンテンツ流通・保護システムを構築するために、その基礎基盤技術として、次のステップで研究・開発・実証を行うこととしている。3年間の実施計画の各年度において、課題1:論文と紐づく成果公開プラットフォームの開発、課題2:成果物を安心して公開できるセキュアな環境整備、課題3:学会・機関リポジトリを用いた実証実験、をそれぞれ平成24年度から26年度の達成目標として設定している。 平成24年度に主に遂行する計画であった、「論文と紐づく成果公開プラットフォームの開発」に関しては、予定通りに研究・開発を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24,25年度については、先に示した課題2,3をそれぞれ主として実施する予定である。課題2については、従来進めてきた、PDF やオフィスアプリケーションフォーマット(Office Open XML:OOXML)に対する長期署名の付与について研究を発展させることで実現する。ここで、サプリメンタルデータのフォーマットは多様となるために、従来の研究成果を、より汎用的な技術に展開する必要がある。具体的な実現方法としては、成果物のメタデータをXMLで記述し、成果物の電子ファイルから計算したハッシュ値、あるいは、エンコード値そのものも含めた状態で長期署名を付与することにより、研究成果の先取性を保障する技術を確立する。長期署名については、今後のPDF に対する新しい標準やJIS 化、あるいはアーカイビングタイムスタンプと呼ばれる新しい考え方や世界動向についても視野に入れながら、最も適切な方法の提案を目指す。課題3については、現時点では、学会リポジトリと図書館リポジトリを実験の対象として予定している。前者の方法としては、現在申請者が提供している情報系学会の電子ジャーナル発信サイトを活用する。基本的にはテスト系環境を用いて実験を行う予定であるが、比較的小規模なSIG 等の参加が期待できる場合には、実環境における新サービスとして組み込む予定である。また、後者の方法としては、申請者が開発したリポジトリシステムWEKOを利用する大学との連携により、実験を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度には、旅費とプログラム開発委託費(その他の項目)にて研究費を使用する予定である。旅費に関しては、平成24年度における研究成果発表のための国内外旅費、課題2を実施するにあたっての調査旅費として使用する計画である。プログラム開発経費については、本研究において、アルゴリズムや仕様を構築した後に、平成26年度に実施する課題3の実証実験で利用するためのシステム開発費として使用する計画である。
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