研究課題/領域番号 |
24500138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
櫻井 保志 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (30466411)
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研究分担者 |
吉川 正俊 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30182736)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 時系列データ解析 / センサデータ処理 / データストリーム / パターン検出 / 情報予測 |
研究概要 |
信頼性および拡張性が高い計算機サーバを大量に抱える近年のデータセンタはネットワーク社会において重要な社会基盤となっている。本研究では、計算機サーバのCPU温度やファン速度を監視し、その物理条件に基づき計算機の負荷を制御することにより、計算機の性能を維持させつつ、データセンタの電力消費量を低減化させることを目的とする。このように大規模サーバにおいて、各CPUの熱処理の効率化は非常に重要な問題である。高精度かつ高速にCPU温度を予測するために、平成24年度は時系列データのパターン検出技術および予測技術の開発に取り組んだ。具体的には以下二つの部分テーマに取り組んだ。 (1) センサデータからのパターン検出技術: ネットワークから流れてくるビッグデータ、すなわちデータストリームを高速に解析するための研究に取り組んだ。特に、複数の温度センサデータを監視し、類似する部分シーケンスペアとそれらの周期性を高速に検出するためのアルゴリズムを考案した。データベース分野の権威ある国際雑誌であるVLDB Journalに論文が採録され、国際的にインパクトのある研究成果となった。 (2) 時系列データのモデル推定および情報予測技術: データセンタにおける熱処理の効率化に向けて、大規模な時系列データのための予測技術の研究に取り組んだ。計算機サーバのCPU温度は負荷に応じて急激に変化することがあるため、従来とは異なる、新たな時系列モデルおよびモデル推定手法を考案した。研究成果の一部はデータマイニング分野における最高峰の国際会議であるKDDに論文が複数採録されており、国際的に高い評価を受けている。さらに、研究チームのメンバーをとセンサネットワークを用いたアプリケーションの研究にも取り組んでいる。ユビキタス分野の著名な国際会議であるPERVASIVEに論文が複数採録されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
データマイニング分野およびユビキタス分野における国際的なトップ学術雑誌、トップ国際会議に多数論文が採録されており、国際的にインパクトのある研究成果を出している。また、成果の一部は複数企業において導入が検討されており、成果の社会還元に関する取り組みも順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要において示したように、時系列データのモデル推定および情報予測技術に関する研究に取り組む。本テーマの研究は順調に進捗しており、平成25年度はこれまでの研究成果を活用、発展させることによって技術レベルを高め、急激なトレンドの変化とデータの大規模化に対応できる新たな予測技術を開発する。そして、大規模な計算機環境を構築し、より実践的な状況において温度予測の精度および計算時間を評価する。 平成26年度は、それまでに確立した予測技術を用い、温度データを基にした負荷分散技術を確立する.また、研究成果を社会により広く還元するために、考案した予測技術を活用し、Webアクセス履歴のようなWeb情報を対象とした解析技術の研究に取り組む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の主な使用用途は以下の通り。 (1) 今後の研究の推進方策において述べたように、より大規模な計算機環境で実験を行うため計算機の購入を検討しており、70万円の使用を計画している。より実践的な状況において予測アルゴリズムの精度および計算時間を評価する。 (2) 研究代表者である櫻井は、研究協力者であるFaloutsosと連携を強化するため、カーネギーメロン大学への海外出張を検討しており、30万円の使用を計画している。研究の議論を深め、より優れた技術を確立する。
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