本研究では、並列処理を行なっている計算機サーバ群を対象とし、それらのCPU温度および周辺温度を監視し、その温度センサデータをリアルタイムに予測し、負荷分散を行なうことによって計算機サーバの温度の均一化を図り、データセンタ全体の電力消費量を低減化させることを目的とする。本研究は理論研究から応用技術開発まで幅広く実施する予定であったが、研究代表者がプロジェクト期間の途中にNTTコミュニケーション科学基礎研究所から熊本大学へ移り、研究環境が変わったため、センサデータ処理を中心とした時系列データ解析の基礎研究やアルゴリズムの研究に注力して取り組んだ。特に、平成27年度は以下のテーマに取り組んだ。
時系列ビッグデータの高速解析技術:
ネットワークから流れてくる大規模な時系列データ、すなわち時系列ビッグデータを高速に解析するための研究に取り組んだ。センサデータは大規模であり、そして急激に変化することがあるため、多様かつ多数のパターンを高速に検出するための時系列マイニング技術を確立した。開発技術はパターン発見とモデル学習を高速かつ高精度に、そしてパラメータ入力を一切必要とせず完全自動で行なう。本年度においては、データベース分野において最高峰かつ最難関の国際会議であるACM SIGMOD、データマイニング分野において最高峰かつ最難関の国際会議であるACM KDDの両方で研究論文を発表した。また、これまでの3年間の研究成果はACM SIGMOD 2015におけるtutorial講演に採択されることとなり、国際的に極めてインパクトのある研究成果となっている。また、センサデータ解析を中心とした本研究の成果は非常に有用であり、技術の実用性が認められてトヨタIT開発センター(およびトヨタ自動車)との産学連携につながり、現在も継続して共同研究を実施し、産業面での成果につながっている。
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