H26年度は,1)物体の形状やサイズを考慮した卓上情報投影の視認性向上手法の改良,2)微少物体のIDと位置計測手法の改良,3)アプリケーションケーススタディ,を行った. 1)では,卓上物を避けたプロジェクタ投映により視認性の高い情報提示を可能とするビューマネジメントにおいて,事前に物体の形状登録を不要とする「動的モデリング」手法を,卓上に設置したRGB-Dセンサから得られる点群から外接直方体を求めることで実現した.実験の結果,概ね実物体のサイズより大きくモデル化されたことを確認した.このような過大評価は過小評価と比べると,本来の用途であるプロジェクタ光源と物体との重なりを削減においては有利に働くため,望ましい.
2)では,実験作業理解と情報投映位置決定のための物体識別と位置計測において,マッチ箱のような微小物体,ビーカーのような半透明物体を対象とすることを目指した.物体の2次元の色情報(RGB)だけでなく,奥行き情報(D)を取得可能なRGB-Dセンサを利用し,物体認識に一般的な局所特徴量に加えて物体領域の矩形情報に基づく実寸法特徴量を用いる手法を提案した.これにより,従来のような30mm四方の視覚マーカーやコイン大の無線タグの物体への貼付を不要とした.位置計測は検出可能最小物体サイズ5mm,平均計測誤差15~17mm,最大誤差30~31mmの性能を達成した.物体識別においては,物体領域の対角線や最大長といった情報が半透明物体を含んだデータセットにおいて効果的であることを明らかにした.
3)では,前年度に引き続き手順が存在する作業としてアイロン掛けを取り上げ,本研究で提案しているプロジェクタ・カメラシステム構成を用いた支援システムを開発した.支援手法の指針として,局所的にしわ位置を示すのではなくしわ箇所全体を示すことで,作業者の行動計画に効果的であることを明らかにした.
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