アクティブ骨導音センシングは関節角度推定に主に利用する手法として開発してきたが,関節の角度推定だけでなく,手形状推定にも応用することに取り組んだ.システムの構成は関節角度推定を行う際と変わらず,マイクロフォンと振動アクチュエータの1セットを用いて,グー,チョキ,パーなどの手形状を推定することを実現した.手首から入力した信号を指先につけた指輪型のデバイス(マイクロフォン)で検出する.関節角度推定では,振幅を特徴量として用いたが,手形状推定では,ホワイトノイズを加えた際のパワースペクトル密度を特徴量として用いた.振幅と同様に,手形状を変化させた際にパワースペクトル密度が変化することが確認でき,0 Hz から 2500 Hzまでのパワースペクトルを10Hzごとに区切りことで250次元に特徴量として用いた.2500 Hz 以上の周波数は振動が減衰しほとんど伝搬されないことから,推定に使用する必要がないことは実験を通しても確認している.手形状認識にはサポートベクタマシンを用いたが,3種類の動作に対する認識率は,94%以上という結果となった. また,装着型インタフェースとして,仮想空間,実空間にてグリッパのコントロールを行った.示指のMP関節角度を用いてグリッパの開閉を制御し,物体を適切に把持することが可能であることを実験を通して確認できたことから,提案手法はインタフェースとしても利用可能である.
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