研究課題/領域番号 |
24500147
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
苣木 禎史 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (50284740)
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研究分担者 |
宇佐川 毅 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30160229)
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キーワード | 両耳補聴器 / 身体動作 / 頭部運動 / コミュニケーションゾーン |
研究概要 |
本研究課題は、音源方向推定をし、推定した音源方向の音を強調する補聴器を高度化することが目的である。従来の両耳補聴器は、音が存在する方向を音響信号処理で推定し、その方向を強調する、もしくはユーザーの正面の音を提示する設計が主である。しかし、ユーザーは必ずしも音源の方向を正面として会話していているわけでもなく、頭部運動も伴う。よって、音響信号によって推定した方向やユーザーの正面のみをユーザーの望んでいる方向とすることは、違和感を感じさせる場面がある。そこで,本研究課題では、ユーザーの頭部運動を検出することにより、人が意識している空間領域を推定し、その領域の音響信号のみを強調するシステムの構築を目指す。システムは、両耳に装着したマイクロフォンとヘッドフォンの両耳補聴器に加え、頭部運動を検出するセンサーからなる。センサーは、左右いずれかの耳介付近に装着し、そのセンサーが加速度を検出し、頭部の回転角を推定する。そして、ユーザーの頭部運動を時系列で観察したデータより、機械学習を用いて会話中の空間領域を推定する。初年度の研究費を利用して、実験を記録するためのシステム構築とデータ取得の確認、さらに予備実験を行った。データ取得のためのセンサーおよび端末を購入し、頭部運動の際に生じる加速度および角速度の変化を無線で得られることを確認した。また、回転角と頭部運動中であるか否かを検出するモジュールの検討を始めた。 平成25年度は被験者を用いて、設計する会話タスクに基づいて頭部運動による加速度および角速度のデータ収集を行い、頭部が運動中であるか否か、さらにはそれによる空間領域の推定を試みた。結果,センサーの固体差の補正関数を求め,さらには,3人から5人のグループディスカッションを模擬し,その際の頭部運動を解析し,その傾向を用いて,指向性制御方向の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度に,複数人の会話を模擬し,データ取得を行い,概ね順調と言えるが,想定をしていた傾向に加えて,さらなる高度化を目指すデータ解析を行っている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に完了したグループディスカッションを想定した頭部運動の実験データの解析を着実に進め,平成26年度前半には終了する予定である。また,平成26年度の研究計画であった,再生音の自然さを保つためのの環境音の適応混合に関しても検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験被験者の雇用において,研究室学生のボランティアにより支出を削減できた。 また,実験結果の解析が途中の段階であり,予定していた発表件数より,少なくなったため, 総支出が当初の計画より少ない。 今年度の計画にあるように,引き続き,平成25年度の実験結果の解析を行い,頭部運動によるコミュニケーションゾーンの推定モデルを開発し,対外発表を行い,適正な執行を行う予定である。また,再生音の自然さを創出するための被験者を用いた実験を行う予定であり,さらにはそれらに関する研究発表を行うための費用を適切に執行する予定である。
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