研究課題/領域番号 |
24500149
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 作一 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (90452929)
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研究分担者 |
木原 健 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (30379044)
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キーワード | 視覚 / 立体視 / カラー / ディスプレイ / ユニバーサルデザイン / 色覚補助 |
研究概要 |
本課題においては、特徴的な視環境の変化に対応し、(1) モバイル表示環境、(2) 立体表示環境、(3) 2色覚者に配慮したユニバーサルカラー表示環境、における人間の視覚認知特性を理解し、併せて新しい表示機器の開発に資することを研究の目的としている。本年度は、2年目に当たり、上記(3)を重点的化する方針に従い、各々以下のような項目について基礎研究とプロトタイプ開発を行った。 (1) モバイル表示環境(査読付き原著論文1件):以前から継続していたモバイル環境におけるスクロール表示に関する可読性評価結果を原著論文にまとめた(大塚ほか、映像情報メディア学会)。 (2) 立体表示環境(査読付き原著論文1件、査読付き国際会議論文1件):両眼視差と陰影手がかりの何れを立体知覚に利用するかの個人差について原著論文にまとめた(藤崎ほか、映像情報メディア学会)。また、新たに世代間における差異を検討し、国際会議で発表した(木原ほか、SID2013)。さらに、立体視能力向上のための訓練方法についても、基礎的なデータを収集し、口頭発表を行った。 (3) ユニバーサルカラー表示環境(査読付き国際会議論文1件、国際特許出願1件):前年度に引き続き、モバイルで利用できる双方向(3色覚と2色覚)の色覚補助ミュレータの研究開発を行い、より完成度の高い方法を考案して国際会議で発表を行った(比良ほか、SID2013)。また、これに先立ち報道発表も行い、毎日新聞(Web版)等に掲載された。さらに、前年度の国内特許出願をもとに国際特許を出願した(JST支援)。 (4) その他 現在テレビ放送されている天気予報図を解析し、領域区分線の区切り方が視認性に大きく影響することを確認した。また、現在放送中の天気予報図が必ずしも心理学的知見を十分に生かしていないことも判明した。この成果を国際会議SID2014で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、それぞれの項目において一定の成果(合計で査読付き原著論文2件、査読付き国際会議2件、国際特許出願1件)が得られているので、おおむね良好と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる次年度は、(1)これまでの研究成果を取りまとめた発表の推進と、(2)2020年の東京オリンピック招致決定で、今後、高精細・大型化やハイダイナミックレンジ化などの急激な変化が見込まれる映像ディスプレイの視認性についての基礎検討を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は概ね順調に推移したが、その結果として、次年度に研究成果の実用化に係る打ち合わせや発表関係の旅費等を工面する必要が生じた。そこで、研究費の効率的使用に努めて、次年度分を工面した。 平成25年度は、繰越金額の大半(800千円)を上記の旅費に充当する計画である。
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