研究課題/領域番号 |
24500153
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
渡辺 祐子 東京電機大学, 情報環境学部, 講師 (20287444)
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研究分担者 |
柴田 滝也 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (30349807)
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キーワード | バーチャルリアリティー / 拡張現実技術 / 音響情報処理 |
研究概要 |
H24年度は、被験者の耳介形状の特徴量抽出のパラメータとして、光源から耳介表面へ光を入射した際の鏡面反射量を導入し、このパラメータが本研究課題における被験者の音像定位能力と耳介の形状の関係分析に有効であることを見出したが、この場合、耳道入り口から耳甲介腔付近の形状が特に重要であり、この付近のメッシュの解像度をより細かくする必要性を確認した。 そこで、H25年度は、その点を考慮して、3次元メッシュデータの再構築と解析を進めた。その結果、音源の入射角度が正中面内で変化する場合、耳道入り口を反射点として、水平面からの反射光の角度情報で鏡面反射の綿密度を分割して分析した場合に、音像定位の定位誤差量のRMS値(音源の到来方向と音像を知覚した方向の偏差量)と相関がみられることを確認した。また、特に音像定位の誤差が大きい場合、反射の多い面が、耳介外部に多く観られ、それが音源の入射角度に依存して移動する現象を可視化して確認した。 一方で、3Dスキャナーは見えない部分のデータ欠損が避けられず、耳介の窪みや裏側の形状の影響が考慮できない。そこでMRIを用いてシリコン製の耳介レプリカの3D形状をデータ化する手法を検討し、32個の詳細な耳介データを新たに採取した。これらのデータをこれまでの手法で再度、解析し、分析を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRIを用いてシリコン製の耳介レプリカの形状をデータ化する手法を考案し、そのデータをメッシュ化する手続きを確立できたことから、基礎的な分析に必要な3次元形状データを採取できたので、それを元に音像定位の定位精度と耳介形状の関係性分析を進め、いくつかの知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は本課題の最終年度であるので、これまで採取した耳介データの特徴量と音像定位精度、更には音響的な特徴量(HRTF)との関係分析を進め、良好な定位に必要とされる耳介形状の特徴を明確にする。同時に個人に最適化した3次元音場生成の構築を目指し、各個人に良好な音像定位を提供するために、個々人毎に一番マッチする適当な形状を有する耳介をデータベースから抽出し、その耳介の有するHRTF情報を算出、システムにローディングするようなアルゴリズムの構築を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
3次元データをMRIを用いて再度採取する際に、学内設備の使用のため費用がかからなかった。同時にデータ採取が遅れたことにより、本課題にて構築を目指しているシステム開発に着手できなかったため、その費用が支出されなかった。 MRIによる3次元データ採取方法になったことにより、3次元メッシュデータ作成は外部に発注する必要が出たので、その費用とする。また、今期実施予定としている耳介の方向別の音響特徴量解析のために、方向特性を1度精度で採取する目的で自動制御のモーター回転台を購入する予定である。
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