研究課題/領域番号 |
24500158
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田川 和義 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, ポストドクトラルフェロー (40401319)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | バーチャルリアリティ |
研究概要 |
遠隔多地点間にて,高精細(最高分解能1[mm] )・大規模(ノード数30 万以上)な仮想柔軟体(複雑な脈管分布構造を持つ臓器)を共有可能,かつ視力覚的な相互インタラクションを可能とする,遠隔手術訓練環境の基盤となる手法を確立することが目標である. まずは,大規模な仮想柔軟体の高速な変形シミュレーションを実現するために,適応的埋込み変形モデルの開発を行った.対象物の非一様性,もしくは応力の分布状態に応じて,メッシュの空間的解像度をオンラインで更新することが可能な,埋込み変形モデルを確立した.さらに,直方性および階層構造の利用による共回転系の変形計算の高速化を行った.適応的四面体ボリュームメッシュは3軸の直交軸を有する3種類の直方四面体のみで構成される.この直方性および階層構造を利用することで,共回転系の変形計算(線形FEMによる変形計算および要素回転の抽出計算)の高速化を実現した. さらに,適応的・階層型埋込み変形モデルに対する外科手技インタラクションを実現するため,埋込み変形モデルに対する面接触計算の検討を行った.具体的には,時々刻々と空間的解像度が変化する物体に対するGod Object法の検討を行った. 加えて,適応的埋込み変形モデルの同期方法の検討を行った.本研究では各計算機が独立して埋込み変形モデルを持ち変形計算を行うが,各計算機の変形モデルの適応化の状態(時空間解像度)が異なる場合は,一致した変形を得ることができない.そこで各計算機の変形モデルの変形・適応化・トポロジ変化の状態を,低い通信コストで効率的に同期することが可能な,二分木の特性を活用した共有アルゴリズムの検討を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変形シミュレーションにおいては,研究の成果を学術雑誌や国際会議等に投稿して採録となっており,当初の想定以上に進展している.これに対して,外科手技インタラクションおよび適応的埋込み変形モデルの同期方法については,現在は手法の検討にとどまっているため,このような判定とした.
|
今後の研究の推進方策 |
適応的・階層型埋込み変形モデルの開発においては,適応的埋込み変形モデルの時空間適応化法の実装を行うとともに,埋込み変形モデルにおけるオンラインリメッシュの分割・統合の判断指標を考案・実装する. 階層型変形シミュレーションにおいては,線形FEMによる変形モデルと,共回転系非線形FEM による変形モデルとを接続した,階層的な変形シミュレーション手法を考案・実装する. 適応的・階層型埋込み変形モデルに対する外科手技インタラクションにおいては,埋込み変形モデルに対する,鉗子による把持反力計算の考案・実装を行う.脈管等の埋込み変形モデルに対する,鉗子による把持反力の計算手法を確立する. インタラクションの同時性の共有機構においては,適応的埋込み変形モデルの同期方法を引き続き検討するとともに,検討した同期手法を実装する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じた状況: 本年度は計算アルゴリズムの検討および実装に注力したため,力覚提示デバイスのリプレースを次年度以降に見送ることとした. 翌年度以降に請求する研究費と合わせた使用計画: 次年度は,変形を高速で計算するため「ハイパフォーマンス計算システム」1 式を必要とする.このシステムには、計算の高速化のために「ハイパフォーマンス計算拡張ボード」1 式を搭載する.速報性を重視し研究成果を国際会議で発表するための旅費や,関連する手法を調査するための書籍代も必要とする.
|