研究課題/領域番号 |
24500165
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
高橋 治久 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (90135418)
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研究分担者 |
堀田 一弘 名城大学, 理工学部, 准教授 (40345426)
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キーワード | カーネルランダムフィールド / ディープラーニング / フィッシャー特徴量 |
研究概要 |
本研究の目的は,カーネルによりポテンシャル関数が定義されたランダムフィールドによる機械学習と応用である。前年度はカーネルランダムフィールドを提案し最尤法と平均場による学習を提案した。本年度はカーネルランダムフィールドを特徴抽出器としてパターン認識への応用を行った。最大の成果は,この特徴抽出器は,カーネルの次数を十分大きくとれば,パターン識別問題が必ず線形分離可能な問題に変換できることを示した点にある。このことは,カーネルランダムフィールドを特徴抽出に用いれば,線形識別関数により非常によい識別性能を見込むことが可能となる。近年のディープラーニングは特徴抽出層を多層とすることにより,人の認識に近い識別性能を得ているが,システムが大規模で学習するパラメタが膨大であり,その応用はかなり難しい。これに対し本手法は一層のカーネルランダムフィールドで,線形分離可能な特徴を得ることが可能な点が特筆すべき事である。 実際,典型的なパターン認識問題である顔検出にこの手法を適用し,従来法との比較により,顔検出に特化した機械学習法よりも良い性能が得られることを実験により示し,国際会議で発表した。(3件の発表の内,2件の研究補助者による発表は学生賞を受賞した。また研究代表者の発表はヨーロッパの国際誌であるニューロコンピューティング誌への掲載の推薦を受けた。)この検出器は,実際に問題にチューニングしていけば,最高性能の識別器を簡単に構成できることが十分期待できる。これは今後の課題である。更に,本年度は,単眼立体視覚や対象と背景を分別し背景を消すことによるカテゴリ識別,高性能は完全自動クラスタリングなどの研究を行った。これらの成果は,カーネルランダムフィールドで扱うことを目的としており次年度の研究の基礎となる物であり,3件の国際会議で発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標は,カーネルランダムフィールドの応用であったが,一部識別器への応用において想定した以上の成果を上げることが出来た。成果は国際会議棟で発表し,3件の発表の内,2件の研究補助者による発表は学生賞を受賞した。また研究代表者の発表はヨーロッパの国際誌であるニューロコンピューティング誌への掲載の推薦を受けた。この成果を受け,次年度は,カーネルランダムフィールドを特徴抽出機として持つ識別器の方へ重点を移す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
学習識別器によるパターン認識への応用で,高精度な識別器を提案できたので,今後はこの識別器の特性を調べることと応用分野を更に開拓することに重点を置く。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費が発生したため,研究補助者(学生)の旅費が,予算額をオーバーする見込みとなり一部校費からの出費でまかなった。このため差額が生じた。 この年度では,マルコフランダムフィールドによる識別器を完成し,MailabとC言語によるソフトウエアパッケージとして完成し, 世界中に無料公開する予定である。とくに電気通信大学では,24年度から,ソフトウエアレポジトリが開設され 世界に向けて発信されている。この研究で作成されたソフトウエアは,まずこのレポジトリに登録し,成果とし て広く公開する予定である。このため当初の計画に加えて謝金として円年度からの繰り越し分を用いる。
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