研究課題/領域番号 |
24500174
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20273873)
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キーワード | エージェント / 不誠実推論 / 議論フレームワーク / 論争ゲーム / アブダクション / 創発 |
研究概要 |
本年度は、(1)議論フレームワークにおける論争ゲームの論理プログラミングによる実現、(2)議論フレームワークにおける不誠実推論のアブダクションによる計算手法の開発、及び、(3)利己的エージェントの創発に関する研究を行った。具体的研究内容は以下の通りである。(1)前年度に導入した抽象議論フレームワークにおける論争ゲームを論理プログラミングを使って実現した。本研究は議論フレームワークと論理プログラミングの2つの知識表現言語を有機的に統合するものであり、エージェントによる論争を人工知能システムで実現するための計算モデルとして貢献する。(2)仮説推論の一形式であるアブダクションを用いて議論フレームワークにおける論拠を説明する方法を提案し、論理プログラミングによる計算手法を導入した。本研究は「議論」と「説明」という2つの相補的な人間の推論機能を結合するものであり、本研究結果を受けた後続の研究成果が既に海外の研究機関から報告されている。(3)不誠実な行動が創発する状況を観察するために、資源が限られた環境下でエージェントが非協力的に振る舞うようになるプロセスをマルチエージェントシステムを使って実験した。本実験の結果、餌情報を共有していた複数のエージェントの中から、餌獲得競争が激しくなるにつれて餌情報を伝えない利己的なエージェントが発生し環境に適応するプロセスが観察された。本研究は、自然界で動物が生存競争を勝ち抜くために利己的に振る舞うようになるプロセスを具現したものとして興味深い。(1)-(3)それぞれの研究結果は国際会議で論文発表され、Springer のレクチャーノートシリーズにおいて出版される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究計画の2年目の平成25年度は、当初計画にあった議論フレームワークにおける不誠実なエージェントによる論争のモデル化を完了した。さらに当初予定では3年目に計画していた論理プログラミングを使った計算手法についても研究を行い、アブダクションによる計算モデルや利己主義の創発実験などの研究についても国際会議で発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、議論フレームワークにおける不誠実なエージェントによる論争モデルに関する研究成果を論文にまとめて国際ジャーナルに投稿する予定である。また、研究計画にある不誠実な行為の発見と信頼できる情報源の識別に関する研究を行い、研究成果を国際会議に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度は研究成果発表を伴う欧州方面への出張2回を計画していたが、そのうち一回を予定していたトルコが政情不安定であったため、予定を変更して国内で開催された国際会議で論文発表を行った。この結果、出張旅費の差額として30万余が生じる結果になった。 今年度は欧州で開催される国際学会に既に論文を一本投稿しており、欧州方面の海外出張を含む国内外への旅費および物品費への使用を予定している。
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