研究課題/領域番号 |
24500177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
高濱 徹行 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (80197194)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 最適化アルゴリズム / 制約付き最適化 / 進化的計算 / Differential Evolution / 低精度近似モデル / 近似モデル / 関数形状推定 / Expensive Optimization |
研究概要 |
本研究の目的は,進化的アルゴリズムを対象として,目的関数の形状タイプ推定によりアルゴリズムパラメータを自動調整する方法,近似モデルを用いた関数評価回数の削減方法,制約付き問題を解くために提案してきたε制約法の改良について研究を推進し,効率的で汎用的な制約付き最適化アルゴリズムを開発することである。本年度の研究内容と主な成果は次の通りである。 ①目的関数の形状タイプ推定:本年度は,目的関数の形状タイプとして,単峰性と多峰性の判定について研究を進めた。探索点群の重心と最良探索点を結ぶ直線上に均等にサンプリング点を設定し,サンプリング点における目的関数値の増減により,増減回数が1回ならば単峰性,そうでなければ多峰性と判定するする方法を提案し,その有効性を確認した。 ②アルゴリズムパラメータの自動調整:本研究では,進化的アルゴリズムとして Differential Evolution (DE) を採用しているが,DEを効率的に実行するためには,アルゴリズムパラメータを適切に設定する必要がある。DEのアルゴリズムパラメータであるスケーリングファクターFについて,①の形状タイプ推定に基づき,単峰性の場合は収束速度を高めるためにFを小さくし,多峰性の場合は局所解を避けるためにFを大きくするという調整法を組み込んだLMDE(DE with detecting Landscape Modality)を提案した。13種類のベンチマーク問題と20種類の大規模問題に対してLMDEを適用しその有効性を示した。 ③制約付き最適化の効率化:我々は各探索点を目的関数値によってランク付けし,そのランク情報に基づきアルゴリズムパラメータを調整するRDE (rank-based DE)を提案している。ε制約法の汎用性を確認するために,ε制約法をRDEに組み込んだεRDEを提案し,探索効率が大きく向上することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の成果は以下の通りである. ①目的関数の形状タイプ推定法として,サンプリング点における目的関数値を用いて単峰性か多峰性かを推定する方法を提案し,その有効性を確認した。 ②推定したタイプに基づきDEのアルゴリズムパラメータを調整するLMDEを提案し,探索効率が大きく向上することを示した。 ③DEを改良するために提案したRDEにε制約法を組み込んだεRDEを提案し,制約付き最適化問題が効率よく解けることを示した。 これらの成果から,おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降については,下記のような手順で研究を進める予定である。 ①目的関数の形状タイプとして,単峰性/多峰性の他に,変数間の依存関係が弱い/強い関数に対応していると考えられる一様形状/偏り形状の判定に取り組む。アルゴリズムパラメータの調整として,一様形状/偏り形状の判定に基づき,DEの交叉パラメータであるCRの調整法を検討する。 ②関数近似モデルとして,特に低精度近似モデルの改良を進めるために,機械学習の手法について調査・検討する。 ③ε制約法と近似モデルを統合し,効率的かつ汎用的な制約付き最適化アルゴリズムを提案する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は,所属大学において特定研究費が交付され,科研費による支出を予定していた学会参加の一部を特定研究でまかなうことができたため,繰越金が生じた。来年度は,海外出張として,メキシコで開催される国際会議へ参加を予定しており,繰越金は旅費を増額するために使用する予定である。
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