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2013 年度 実施状況報告書

関数形状のタイプ推定と関数近似を利用した効率的な制約付き最適化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24500177
研究機関広島市立大学

研究代表者

高濱 徹行  広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (80197194)

キーワード最適化アルゴリズム / 制約付き最適化 / 進化的計算 / Differential Evolution / 低精度近似モデル / 近似モデル / 関数形状推定 / ε制約法
研究概要

本研究の目的は,進化的アルゴリズムを対象として,目的関数の形状タイプ推定によりアルゴリズムパラメータを自動調整する方法,近似モデルを用いた関数評価回数の削減方法,制約付き問題を解くε制約法の改良について研究を推進し,効率的で汎用的な制約付き最適化アルゴリズムを開発することである。
本年度の研究内容と主な成果は次の通りである。
①目的関数の形状タイプ推定:単峰性と多峰性を分類する方法として,昨年度はサンプリングに基づく方法を提案したが,今年度はグラフに基づく方法について検討した。探索点集合から近接グラフを構成し,接続された点における関数値の大小関係を判定する。隣接する全ての点よりも関数値が良好な点を谷点と推定する方法である。谷点の数が1ならば単峰性,そうでなければ多峰性と判定する方法を提案し,その有効性を確認した。
②アルゴリズムパラメータの自動調整:本研究では,進化的アルゴリズムとして Differential Evolution (DE) を採用している。DEのアルゴリズムパラメータであるスケーリングファクターFと交差率CRについて,①の形状タイプ推定に基づき,単峰性の場合は収束速度を高めるためにFを小さくCRを大きくし,多峰性の場合は局所解を避けるためにFを大きくCRを小さくするという調整法を組み込んだNRDE(DE with Nest-building and Role-sharing)を提案した。ベンチマーク問題に対してNRDEを適用しその有効性を示した。
③制約付き最適化の効率化:制約付き最適化の効率向上のために,低精度近似モデルを用いて関数評価回数を削減する比較推定法とε制約法を統合する方法について検討した。目的関数を低精度近似モデルであるカーネル回帰モデルにより近似して関数評価回数を削減するεDEkrを提案し,13のベンチマーク関数について実験を行い,その有効性を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の成果は以下の通りである.
①目的関数の形状タイプ推定法として,近接グラフを構成することにより探索点集合における隣接関係を構成し,隣接点間における目的関数値の大小関係を用いて単峰性か多峰性かを推定する方法を提案し,その有効性を確認した。
②推定したタイプに基づきDEのアルゴリズムパラメータを調整するNRDEを提案し,探索効率が大きく向上することを示した。
③制約付き最適化の効率向上のために比較推定法とε制約法を統合し,低精度近似モデルとしてカーネル回帰を採用したεDEkrを提案し,制約付き最適化問題が効率よく解けることを示した。
①については,単峰性/多峰性の分類だけではなく,稜構造などの分類にも取り組む予定であったが,まだ実現できておらず少し遅れている状況である。しかし,③の近似モデルとε制約法の統合については想定以上に順調に進んでいるため,全体としてはおおむね順調に進んでいると考えられる。

今後の研究の推進方策

来年度以降については,下記のような手順で研究を進める予定である。
①目的関数の形状タイプとして,単峰性/多峰性の他に,稜構造などの識別に取り組む予定である。
②推定された形状タイプに基づき,DEのアルゴリズム・パラメータを調整する方法だけではなく,DEの戦略を選択する方法についても検討を行う。さらに,形状タイプ識別の汎用性を示すために,DE以外の最適化アルゴリズムへの適用も検討する。
③ε制約法と近似モデルを統合する方法についてさらに検討する。特に,目的関数の近似だけではなく,制約関数の近似についても検討し,効率的かつ汎用的な制約付き最適化アルゴリズムを提案する。

次年度の研究費の使用計画

本年度は高性能ワークステーションの導入を予定していたが,大学におけるコンピュータ環境が整備され,導入機種を高性能パーソナルコンピュータに変更したため,物品費に残額が生じた。また,プログラムの作成等について,アルバイトを雇うことなく進めることができたため,謝金にも残額が生じた。
これに対して,研究の推進のために,国際会議や研究会に積極的に参加して情報収集を行ったため,旅費が予算を超過し,全体としては,7万円程度の残額となった。
来年度以降も,研究を推進するために,国際会議や研究会などに積極的に参加し,情報収集を行う予定である。このため,残額は主として旅費で使用する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Efficient Constrained Optimization by the ε Constrained Differential Evolution with Rough Approximation Using Kernel Regression2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuyuki Takahama and Setsuko Sakai
    • 雑誌名

      Proc. of 2013 IEEE Congress on Evolutionary Computation

      巻: 1 ページ: 1334-1341

    • DOI

      10.1109/CEC.2013.6557719

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Differential Evolution とその周辺2013

    • 著者名/発表者名
      高濱徹行
    • 雑誌名

      2013 IEEE SMC Hiroshima Chapter 若手研究会講演論文集

      巻: 1 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 進化的アルゴリズムにおける関数形状の概形推定2013

    • 著者名/発表者名
      高濱徹行, 阪井節子
    • 雑誌名

      第3回コンピューテーショナル・インテリジェンス研究会講演論文集

      巻: 1 ページ: 25-31

  • [雑誌論文] 巣形成と役割分担を用いた最適化手法の改良2013

    • 著者名/発表者名
      阪井節子, 高濱徹行
    • 雑誌名

      数理解析研究所講究録

      巻: 1857 ページ: 1-18

  • [雑誌論文] 巣形成と役割分担を用いた最適化手法に関する一考察2013

    • 著者名/発表者名
      阪井節子, 高濱徹行
    • 雑誌名

      数理解析研究所講究録

      巻: 1864 ページ: 20-29

  • [学会発表] Efficient Constrained Optimization by the ε Constrained Differential Evolution with Rough Approximation Using Kernel Regression

    • 著者名/発表者名
      Tetsuyuki Takahama
    • 学会等名
      2013 IEEE Congress on Evolutionary Computation
    • 発表場所
      Fiesta Americana Grand Coral Beach Cancún Resort & Spa,カンクン(メキシコ)
  • [学会発表] Differential Evolution とその周辺

    • 著者名/発表者名
      高濱徹行
    • 学会等名
      2013 IEEE SMC Hiroshima Chapter 若手研究会
    • 発表場所
      広島市立大学(広島市)
    • 招待講演
  • [学会発表] 進化的アルゴリズムにおける関数形状の概形推定

    • 著者名/発表者名
      高濱徹行
    • 学会等名
      第3回コンピューテーショナル・インテリジェンス研究会
    • 発表場所
      大阪大学(吹田市)
  • [学会発表] 低精度近似モデルを用いた制約なし最適化における勾配ブースティングの効果

    • 著者名/発表者名
      阪井節子
    • 学会等名
      RIMS研究集会「不確実性の下での数理的意思決定の理論と応用」
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所(京都市)
  • [学会発表] 峰判定を利用したParticle Swarm Optimizationの戦略選択法に関する提案

    • 著者名/発表者名
      阪井節子
    • 学会等名
      愛知大学経営学会主催ワークショップ「数理的意思決定モデルの新たな展開と応用」
    • 発表場所
      愛知大学(名古屋市)
  • [図書] A Comparative Study on Estimation Methods of Landscape Modality for Evolutionary Algorithms in M.Kitahara and C.Czerkawski (eds.) Legal Informatics, Economic Science and Mathematical Research2014

    • 著者名/発表者名
      Setsuko Sakai, Tetsuyuki Takahama
    • 総ページ数
      26
    • 出版者
      Kyushu University Press

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公開日: 2015-05-28  

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