研究課題/領域番号 |
24500181
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
伊藤 一之 法政大学, 理工学部, 准教授 (90346411)
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キーワード | レスキューロボット / レスキューマニピュレータ / 音源定位 |
研究概要 |
本研究では,生物の振る舞いをヒントに,従来の統計処理に基づく汎化とは異なる新しい枠組みとして,「実世界の普遍的性質を利用した汎化の枠組み」を提案することを目的とした.これにより,ロボットは,わずか数十回程度の試行回数で,さまざまな状況に適 応可能な汎化された方策を学習することが可能となり,これまでロボットの活躍が困難であった複雑な未知環境において適応的に振る舞うことが可能なロボットを実現することができる.本年度は,実用化を視野に入れ,昨年度の基礎研究の成果を実際の問題に適用し,実用化の可能性について検証した.主な適用例は以下の通りである. 【レスキューマニピュレータの開発】 昨年度開発されたタコ型ロボットの機構をもとに災害現場において生存者を探索するためのレスキューマニピュレータの開発を行った.また,このマニピュレータに,昨年度開発したアメンボ型ロボットの音源探査機能を生存者探査用に改良して搭載し,声や壁を叩く音などを基に生存者の位置を特定可能なシステムを実現した.半壊した木造住宅を想定した人工の瓦礫環境を用意し,開発したロボットの有用性を検証し,実際に音源に向かって瓦礫内を3次元的に移動可能であることを確認した. 【視覚に基づく衝突防止ロボット】 昨年度検討した「衝突までの残り時間の推定」に加え,トンボの振る舞いをもとに,衝突位置を光学的な性質を利用して推定する方法について検討した.動力学を考慮したシミュレーションを行い,提案した方法の有用性を検証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた4つのロボットについては,それぞれの開発が終わりその有用性を確認した.また,実用化へ向けて,レスキューロボットなどに応用しその有効性を確認した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られたデータを整理し,提案した枠組みを精査,改良するとともに,様々なロボットおよびタスクに適応可能な一般的な枠組みとしてまとめ,国際会議,学術雑誌等に発表する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定よりロボットが早く完成し,その後の保守改良も,予定より少ない費用でまかなうことが可能であった.残金は,成果発表や,関連研究の調査に使用し,端数は翌年へ繰り越すこととした. 本年度は,実用化に向けての実証実験,ならびに,理論の一般化とその成果発表に使用する予定である.
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