本研究では,生物の振る舞いをヒントに,従来の統計処理に基づく汎化とは異なる新しい枠組みとして,「実世界の普遍的性質を利用した汎化の枠組み」を提案した.これにより,これまでロボットの活躍が困難であった複雑な未知環境において適応的に振る舞うことが可能なロボットの実現を可能とした.今年度は,これまで開発したロボット並びに制御則を改良するとともに,実際の状況を想定したシステムにおける提案手法の有用性を検証した.詳細は下記のとおりである. 【レスキューロボットへの応用】実世界の性質を利用した汎化の枠組みを利用し,災害現場の不整地を平地と同様の制御系で移動可能な蛇型ロボットならびにムカデ型ロボットを実現し,その有用性を確認した. 【自律走行車の合流制御への応用】トンボの振舞をもとにした衝突回避アルゴリズムを発展させ,単眼カメラによる視覚情報のみで合流が可能な制御アルゴリズムを提案し,シミュレーションによりその有用性を検証した. 【タコ型マニピュレータの3次元化】柔軟な素材でマニピュレータを構成することで,タコの適応的な振舞を再現可能なマニピュレータを開発し,様々な3次元物体を容易に把持可能であることを確認した.
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