効果的なデータマイニングのためには,データマイニングアルゴリズムで処理可能なように,必要なデータを単一データベースに融合して整える必要がある.データ融合の精度を高めるために,融合に用いる補助的なデータをデータベース中に埋め込む手法を開発して,その補助データを用いて融合を行う方式を実現した.本年度の研究開発では,アンケート等により得られる主観的データを主たる対象として,回答時の回答者の視線パターンを補助データとして用いるアプローチを採用した.視線データは2次元平面上でのデータとなり処理が複雑となるため,変換によって1次元の時系列データ化する手法を開発した.その上で,標準的な視線パターンとの差分に注目する特徴量を設定し,その特徴量とアンケート結果との関係をデータマイニングにより抽出する手法を開発した.評価実験により,このデータマイニング手法の精度を実証することができた.この方法をこれまでに本研究で開発してきたシステムに組み込み,データ融合とデータマイニングを実行する拡張システムを開発し評価実験を行った. データマイニング手法に関する研究としては,可能世界としてデータ融合の複数の可能性を同時に維持できる方式を開発した.そして,維持すべき可能世界を絞り込んで処理効率化を達成するために,与えられた選好順序を利用する枝刈り手法を開発し実装した.選好順序を自動化することにより利用者の負荷を減らす手法の開発も行った. 本研究全体を通じて,データ融合を行う手法として補助データの利用が有効であることを実証し,補助データ獲得を自動化する方法の開発と評価も行うことができた.このような新たな手法でデータ融合を行った上でのデータマイニング手法開発と有効性の実証も行うことができた.
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