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2013 年度 実施状況報告書

ルールアブダクションとアナロジーによるスキル創造支援

研究課題

研究課題/領域番号 24500183
研究機関嘉悦大学

研究代表者

古川 康一  嘉悦大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10245615)

研究分担者 金城 敬太  沖縄国際大学, 経済学部, 講師 (20611750)
原口 誠  北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (40128450)
藤波 努  北陸先端科学技術大学院大学, 学内共同利用施設等, 教授 (70303344)
キーワードスキルサイエンス / アブダクション / アナロジー / スキル獲得支援 / 比喩表現
研究概要

スキルグループ,アブダクショングループに分けて研究を実施した。
(1)スキルグループで取り上げたテーマは,以下の通りである.1.技の伝承(金子明友)、2.比喩表現、3.多関節筋。全体計画の(1)「コツの収集,分類,および,論理構造の抽出」に関連して、弦楽合奏の指導時での比喩表現を収集・分類を行った。そして、それらが技術的な問題、および音楽表現上の問題の解決に役立つことが示された。その成果を論文にまとめた.
(2)アブダクショングループでは,アブダクションエンジンSOLARにアナロジーを取り入れる方法を検討し、アナロジカルアブダクションシステムを構築した。SOLARにアナロジーを組み込む方法として,ルールアブダクションを実現するためのメタレベル-オブジェクトレベル推論を結びつける因果関係公理を拡張して実装した.因果関係公理に,アナロジー公理を付け加え,そこでアナロジーのベース,ターゲット,その間を結びつける類比を表現し,アナロジーを組み込んだアブダクションエンジンの構築に成功した.実際の応用問題として,スピッカートを習得するために有用な強制振動系とのアナロジーをこれらの述語を用いて表現し,アナロジーを使って欠落したルールを補うルールアブダクションに成功した.同じ枠組みを用いて,類比自身の仮説を生成し,あるいは,アナロジー推論を含む推論図式の中で新たな述語を提案する述語発見にも成功した.これらにより,従来のアブダクションによるルール仮説の導入に対して,その意味をアナロジーによって解釈し,強化するような推論方式を実現した.また、高速移弦を、親指を曲げて弓を保持する方法によって実現する奏法の合理的説明を、アナロジカルアブダクションによって得た。
(3)両グループの統一課題として、比喩表現の論理構造を明らかにするために、アナロジカルアブダクションによる形式化も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度計画していた研究テーマに関して、全体計画の(1)「コツの収集,分類,および,論理構造の抽出」に関連して、本年度はコツの収集、分類に焦点を当て、とくに弦楽合奏の指導時での比喩表現についての検討を行い、その運類軸として、技術的な問題、および音楽表現上の問題、の2軸を特定できた。さらに、研究テーマ(4)「アナロジーを組み込んだルールアブダクションエンジンの試作」に関しては,アナロジーの公理系を整備することができた。 仮説の選好については、本年度はその方式の検討を行った。実装については、次年度の計画とした。

今後の研究の推進方策

研究テーマ(1)「コツの収集,分類,および,論理構造の抽出」については,わざの習得における「比喩表現」の果たす役割に焦点を当てて議論を深める. また、その考察をヒントにして、コツの収集・分類を実現する.研究テーマ(2)「対象動作からの生体力学的アナロジーパターンの抽出」については,対象動作を「スタッカート」、「一弓スタッカート」、「装飾音符」として,その検討を進める.研究テーマ(3)「日常動作からの動作学的アナロジーパターンの抽出」については,多関節筋の作用を組み込んだモーションプランニングシステムの設計・実装を継続して行い,規範動作と類似した「しなやかな動作」を合成可能なことを示す. 同時に,サンバリズムの奏法に関して,トポロジカルな視点での記号化によって奏法間の類似性を測る手法を発展させる.研究テーマ(4)「アナロジーを組み込んだルールアブダクションエンジンの試作」に関しては,アナロジーの公理系をさらに整備して、構造アナロジーの枠組みを実現するとともに,仮説の選好のより肌理の細かい評価基準の導入と実験を行う.研究テーマ(5)「具体例への本アブダクションエンジンの適用とその評価」に関しては,研究テーマ(4)の試作の完了を待って,「スタッカート」、「一弓スタッカート」、「装飾音符」および「比喩表現」の両課題に対して実験を行う.研究テーマ(6) 「得られたコツの有効性を示す練習方法の提案」に関しては,アナロジーから得られたヒントを参考に,動きを喚起する「比喩表現」の生成支援を図る.また,並行して,チェロの奏法に関する副読本の執筆を目指す。

次年度の研究費の使用計画

当該年度は、研究が予想通り進行した結果、当初予定していた検証実験が不要となり、そのため、次年度使用額が生じた。
次年度において、当初予定していなかった課題の遂行のための、モーションキャプチャ実験を計画しており、そのための費用に充てることを計画している。さらに、取りまとめのための成果物などの出版を予定している。それらの経費として次年度使用額を合わせた予算の執行を予定している。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] アナロジーを組み込んだルール発想推論によるスキル獲得支援2013

    • 著者名/発表者名
      金城 敬太, 尾崎 知伸, 古川 康一, 原口 誠
    • 雑誌名

      人工知能学会論文誌

      巻: Vol. 29,No. 1 ページ: 188-193

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Relational Change Pattern Mining Based on Modularity Difference2013

    • 著者名/発表者名
      Y.Okubo, M.Haraguchi, E.Tomita
    • 雑誌名

      Springer-LNAI

      巻: 8271 ページ: 187-198

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Finding Rare Patterns with Weak-Correlation Constraint:2013

    • 著者名/発表者名
      Y.Okubo, M.Haraguchi, T. Nakajima
    • 雑誌名

      Studies in Computational Intelligence, Springer

      巻: 423 ページ: 231 - 246,

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shifting Concepts to Their Associative Concepts via Bridges2013

    • 著者名/発表者名
      H. Zhai, M.Haraguchi, Y.Okubo, K. Hashimoto and S. Hirokawa
    • 雑誌名

      Springer-LNAI

      巻: 7988 ページ: 586 - 600

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Topological Similarity of Motor Coordination in Rhythmic Movements2013

    • 著者名/発表者名
      Hidaka, S. & Fujinami, T.
    • 雑誌名

      Proceedings ofvThe Thirty Fifth Annual Meeting of Cognitive Science Society

      巻: 31 ページ: 2548-2553

    • 査読あり
  • [学会発表] スキルサイエンスによる演奏技術の追究2014

    • 著者名/発表者名
      古川康一
    • 学会等名
      日本知能情報ファジィ学会 関西支部 支部例会
    • 発表場所
      関西大学千里山キャンパス
    • 年月日
      20140331-20140331
    • 招待講演
  • [学会発表] 空手の間合いを学ぶプロセス:技を出すタイミングの変遷2014

    • 著者名/発表者名
      西山武繁,諏訪正樹
    • 学会等名
      人工知能学会身体知研究会
    • 発表場所
      千葉大学西千葉キャンパス
    • 年月日
      20140314-20140314
  • [学会発表] 合奏指導における比喩表現の役割2014

    • 著者名/発表者名
      古川康一,升田俊樹,西山武繁
    • 学会等名
      人工知能学会身体知研究会
    • 発表場所
      千葉大学西千葉キャンパス
    • 年月日
      20140314-20140314
  • [学会発表] スキルサイエンスへの挑戦2013

    • 著者名/発表者名
      古川康一
    • 学会等名
      技能情報学研究ステーション キックオフ講演会
    • 発表場所
      電気通信大学
    • 年月日
      20131123-20131123
    • 招待講演
  • [学会発表] ルールアブダクションとアナロジーによるスキル創造支援プロジェクトの概要2013

    • 著者名/発表者名
      古川康一,原口誠,藤波努,金城敬太,升田俊樹,小林郁夫,西山武繁,尾崎知伸
    • 学会等名
      人工知能学会2013年度全国大会
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      20130604-20130607
  • [学会発表] アナロジーを組み込んだルール発想推論によるスキル獲得支援2013

    • 著者名/発表者名
      金城 敬太,尾崎 知伸,小林 郁夫,原口 誠,藤波 努,古川 康一,升田 俊樹
    • 学会等名
      人工知能学会2013年度全国大会
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      20130604-20130607
  • [学会発表] サンバ運動の力学的位相構造による不変的表現2013

    • 著者名/発表者名
      日高 昇平, 藤波 努
    • 学会等名
      人工知能学会2013年度全国大会
    • 発表場所
      富山国際会議場
    • 年月日
      20130604-20130607

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公開日: 2015-05-28  

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