最終年度となる平成27年度は,平成26年度迄に実施した研究調査並びに提案したシステムアーキテクチャーに基づいて,ロケーションサービスの観点からデータマイニングとプライバシー保護の両者の観点から技術的課題を整理した.特に,前年度までに遅れが生じているプライバシー保護に関係するデータマイニングアルゴリズムとして,完全準同型暗号 (Fully homomorphic encryption) のオープンソースを利用することによりプロトタイプ実装を進めた.加えて,空間データに対するプライバシー保護処理を行うアルゴリズムの検討を進めるために,プライバシー保護に関連するデータマイニングの研究動向の調査も行った. 特に,研究室において研究指導を行う学生を中心に HElib (Homomorphic Encryption library) を採用して実装を進めた完全準同型暗号を用いたクラウド上の演算機能を発展し,プライバシー保護アルゴリズムの検討を進めた.研究成果は,2015年7月にGlasgowで開催された国際会議IFORS2015において,"Cloud Architecture of Traffic Mining Systems under Privacy Preservation"として報告した.発表内容は,行動履歴解析を行うプライバシー保護のデータマイニングアルゴリズムを採用したクラウドアーキテクチャーの提案である. 現時点では計算機性能のさらなる向上を必要とする状況であるものの,近い将来の演算性能とストレージ容量の増大により,クラウド上のデータセキュリティ向上において必要不可欠な技術となることを明らかにした.
|