研究課題/領域番号 |
24500189
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
大谷 朗 大阪学院大学, 情報学部, 准教授 (50283817)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 組合せ範疇文法 / CCG / 意味 / コーパス / ガ格 / 難易構文 / 全称量化 / 文理解 |
研究概要 |
本研究では,文の構造と意味との関係を明示的に理論の中に取り込んだ組合せ範疇文法(CCG: Combinatory Categorial Grammar)の枠組みに基づいて,これまで手動で記述されてきた意味情報を,形態・構文情報が付与されたテキストコーパスから(半)自動的に抽出することを目的として,調査研究を推進してきた. 今年度は,言語学的分析を中心に日本語に特徴的な言語現象を概観し,検討してきたが,その過程において,日本語のガ格句の分布に関する理論的整理と,特異な現象としていわゆる繰り上げ,難易構文の分析をCCGに基づいて行った. また,いくつかのコーパスを概観するうちに,スペイン語を学ぶ日本語話者の特異な文法誤りの傾向を発見し,その原因を精査することは日本語の文法を深く探求する上で重要であるという認識から,文法誤りの自動抽出に関する研究も行った. さらに,意味の問題として,心理学的知見も考慮に入れたいわゆる全称量化の研究も行い,文理解過程について考察,まとめを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
意味論の文献調査を行ううちに,本研究の直接的な課題ではないものの日本語の文法,意味の研究においては非常に重要かつ早急の解決が望まれる諸問題を認識し,またそうした問題の解決が申請者の専門的知識や他研究者の助力といったヒューマンリソースによれば迅速に行えたため,当該課題の文献調査に割くべきエフォートを一時下げて,ひとまず他研究者との共同研究を優先して行った.そのため,今年度中に消化すべき文献調査が完了せず計画が遅れることとなった.
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今後の研究の推進方策 |
1. CCGに基づく日本語の言語学的分析(前年度より継続分) 2. 構文情報から意味情報への変換 1によって得られた構文と意味の対応付けに関するCCGに基づいた制約を用いて,構文情報が付与された文から論理形式を抽出するアルゴリズムを設計する(今年度の中心的課題) 3. コーパスからの論理形式の抽出に関する実験,評価,そして研究総括(次年度後半)
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次年度の研究費の使用計画 |
計画に多少の遅れは生じているものの,概ね課題はこなしており,予算の使用もほぼ計画通り行えてきている.次年度でも,そうした予算の使用になることを見込んでいる.具体的には物品費の大半を老朽化,故障したノートパソコンの更新に充て,またそうして導入した機器を活用して国際会議で発表する予定である.よって,旅費の大半は海外への出張費用となる.
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