研究課題/領域番号 |
24500191
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
嶋田 香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (20454100)
|
キーワード | データマイニング / ソフトコンピューティング / 人工知能 / 欠損値 |
研究概要 |
24年度に開発した欠損値を含むデータベースから相関ルールを抽出してルールベースの欠損値推定を行うアルゴリズムの改良を進めるとともに、プログラムを作成し、人工的な欠損値を含むデータベースを用いて評価実験とその結果の解析を行った。データベースのある属性の欠損値を推定するための相関ルール集合を抽出し、これを用いてその属性における欠損値を推定し、さらにその推定値を含めて別の属性の欠損値推定のためのルール抽出を行い、欠損値を推定、推定値を更新することを繰り返していくことでデータベース全体の欠損値推定を最適化しようとする提案方式が有効であることが明らかとなった。属性ごとに欠損値推定における困難度が異なることが実験的に明らかとなり、これを考慮した推定方法を検討した。また、アルゴリズムの拡張の観点から、パラメータの最適化による高速化を検討し、遺伝的操作時の確率設定方法によりルール発見効率を向上できることが分かった。さらに、進化型計算手法で用いる個体の構造変更時のルール抽出状況への影響の評価により、効率のよい個体構造に関する知見を得た。 提案方式におけるルール抽出技術を応用することで人工的欠損値発生時と完全時の差異の評価をルール抽出状況の観点から行うことのできるルール抽出法とその評価実験結果について国際会議で発表した。また、連続値をとる欠損値の予測をルールベースで行う場合の基礎となる手法について国際会議で発表した。データベースに人工的に欠損値を発生させてこれを提案手法により推定する取組と実験結果等について国内学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的のうち、「データベースの欠損値推定アルゴリズムの提案」については、24年度に開発した欠損値を含むデータベースからの相関ルール抽出を組込んだ世代継続型進化論的計算手法による欠損値推定アルゴリズムを用いて、評価実験を行っている。人工的な欠損値を発生させてこれを推定する実験の実施により、世代毎の推定達成率や精度、対象となる属性による推定の困難度等の欠損値推定性能に関するデータを収集し、これを解析して検討を行っている。また、「人工的な欠損値を用いた情報保護方式の提案」のための基礎データを収集するために、欠損値発生率と推定精度の関連等の評価、欠損値を含むデータと完全データの間にみられるルール指標の差異の評価の実験を行っている。アルゴリズムの拡張として、パラメータの最適化による高速化、進化型計算手法で用いる個体の構造変更時のルール抽出状況への影響の評価を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
26年度は最終年度であるため、データベース全体の欠損値を世代継続的な進化型手法によりルールベースで順次埋めていこうとすることを特徴とする欠損値推定アルゴリズムとしてまとめる。高速化や簡易化の改善、連続値属性への対応を併せて進め、実用的な手法としての提案を行う。推定精度の最適化を考慮した欠損値推定時の条件設定法などの運用上の検討も行う。また、人工的な欠損値を用いたルール抽出時の情報保護方式については、属性毎の推定の困難度を考慮しながら適切な情報保護を行おうとする場合の信頼度に関する実験を行い評価する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では、研究補助(1人)の謝金150,000円を計上していたが、予定していた研究補助者による評価実験の実施とそのデータ分析を研究代表者の嶋田が行ったため。 次年度に使用する予定の研究費が、102,581円生じている。26年度は、研究成果の論文投稿を2件計画しており、このための投稿料が当初計画よりも100,000円程度増加すると予想されることから、これに使用する計画である。その他の費目については、研究計画通りである。
|