研究課題/領域番号 |
24500196
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
蔭山 健介 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (30272280)
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キーワード | フレキシブルセンサー / 触覚センサー / 硬さセンサー / 超音波センサー |
研究概要 |
極薄フッ素樹脂 (PFA)フィルムにAl電極を溶着により取付け,コロナ放電によりエレクトレット化したフィルムとインクジ ェットプリンティングによりシリカ凝集体の微細パターニングギャップを形成したフィルムを積層して,フレキシブルECS素子を作製 した。そして,ECS素子を2枚積層したデュアルセンサを製作し,片方を送信子,もう片方を受信子として使用することでセンサの送受信特性を測定することで,センサに負荷された圧力と,センサを接着した物体の硬さを同時測定することを試みた。その結果,センサに負荷された圧力の増加に伴い,送受信波形強度が低下する一方で,エラストマーからアクリル樹脂までの軟質材料の硬さであれば,硬さの増加に伴い,送受信波形の重心周波数が低下することが明らかとなった。この結果を用いて,指などでセンサを軟質材料に押し付けるだけで,押付力と軟質材料の硬さを同時測定することが可能となることを示すことができた。このセンサーは,軟質材料の硬さ測定だけでなく触覚センサーとしても応用できるのではないかと期待される。 次に,ECS素子をギャップを介して2枚配置することで超音波センサーとしてギャップ間の音速を測定し,音速からガス濃度を計測することを試みた。その結果,ギャップ50mmで,空気から水素へ雰囲気を置換しても超音波を送受信することができ,音速の水素濃度依存性を示すことができた。このセンサーはギャップを10mm程度まで狭めることができることから,小型で応答速度の高いガス濃度センサーとしての応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ECS素子を積層してデュアルセンサとすることで,振動だけでなく圧力や硬さを測定できることを明らかにできた。このセンサにより従来の軟質材料の硬さ測定に用いられるデュロメータより小型で応答速度の高いセンシングが可能となった。さらに,当初の目的以外に超音波の送受信によるガス濃度センサーとしての可能性も示すことができた。一方,植物の発泡音測定については,現状では実施の見通しが立っておらず,今後の課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
フレキシブルECS素子を2枚積層したデュアルセンサーを利用して植物茎部の硬さ測定を行い,水ポテンシャルとの関係を明らかにし,非破壊での水ポテンシャル測定法の開発を試みる。また,PTFEディスパージョンとカーボンブラックを用いて,極薄のエレクトレットフィルムを製作し,極薄ECS素子の加速度,音響,振動,圧力,超音波センサとしての性能評価を行い,さらなる小型化が可能か検討する。
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