通常の臓器は3次元空間に浮遊する変形形状である。しかし、判読医は画像からの臓器の分割に位置情報と濃淡情報とを共に利用している。すなわち、臓器の分割・分類には各点が濃淡値を持った4次元データを取り扱う必要がある。さらに臓器の経年変化を考えると、時間変数を考慮した5次元データを分類する問題となる。抽象的な高次元データから標準モデルを構築するためには個々の臓器の違いだけでなく濃淡値の分布、経年変化も考慮した分類尺度を決定する必要がある。本研究では、集合間の食い違いを計る尺度であるグラモフ・ハウスドルフ距離と構造の食い違いを測るグラフ整合距離とを組合わせて多臓器分布臓器間の距離尺度を構成し、腹部に分布する多様な臓器の参照、判別を行う統計的に堅固な手法を開発した。すなわち、臓器形状は時空間パターンとしてエルゴート性を持たないため、個々の臓器の集団平均、変動する臓器の個人時間平均が異なることになる。したがって、心臓のような変動する臓器の平均として、個体としての心臓の平均と、動画としての心臓の平均が異なることになる。この成果から、変動する臓器の種々の計算法を開発した。
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