本申請では,3次元センサによる頑健な大規模平面認識手法の開発を行った.平面認識は,3次元センサにより得られたデータの処理のうち,様々な用途において最も重要な処理の一つである.大規模データ特有の空間的な解像度の不均一性を考慮し,ユーザがなんらかのパラメタを設定することなく頑健に平面を推定することが可能な手法を開発した.提案手法の主たる特徴は,大規模データを扱うために有利な局所的な処理により平面判定を行うこと,複数解像度での認識を行うことによりデータの不均一性に対応できることである. 本研究では,解像度を変更したときの不変性がある離散モデルについて検討し,不変性を保証する離散モデルを利用して,局所的に平面であると判定されるパターンを生成した.本研究では,4×4×4の大きさのボクセルの全ての点について,各ボクセルの点が物体の内部にあるか外部にあるかの情報から,そのボクセルの基準となる点が平面とみなせるかどうかを判定する.平面とみなせるパターンをあらかじめ生成する必要があるが,このとき,4×4×4のボクセルの点全てが物体の内部にあるかどうかの組合せをチェックすると計算量が膨大であり,計算が不可能である.そこで,平面の断面が直線であることを利用し,まず4×4のピクセルの点すべてについて直線のパターンを生成し,直線のパターンを組み合わせることにより平面のパターンを生成した.さらに,解像度間での関係を明確にすることにより,粗い解像度であらかじめ検出した平面パターンを用いて絞り込みを行うことができるようになった. また,大規模データの取り扱いのために,点の座標や平面パターンをビット表現することで,平面の検出をビット演算で高速に行うことができるソフトウェアを開発した.
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