本研究の目的は,ほとんど全てのコンピュータビジョン応用において,最も基本かつ重要な技術の一つである画像間の対応付け問題を解決することである.本研究では,従来ユーザが意図的あるいは無意識に用いていたシーンに関する知識を利用せずに,そのシーンに有効な特徴空間とそれに適した対応付け法を自動的に適用することで,どのようなシーンに対しても有効な対応付け法と特徴記述の提案を行うことを目標とする. 昨年度までに,シーンを建物領域,自然物領域,道路領域に対する自動的な分割法と,予備実験により得られたそれぞれに適した特徴検出法および特徴記述を用いて,それらを統一して扱うための枠組みの定式化を行い,有効性を確認した.また繰り返しパターン領域に対して有効な対応付けや関連する3次元復元手法の提案を行った.今年度は,これらの手法に適した画像の自動的な分類法の検討,更に複数の特徴量を同時に利用した対応付け法を検討した.結果として,Label Transferと呼ばれる手法を適用することで,より正確な画像の分類が可能となること,また同じ個所に対する複数特徴量を同時に利用した対応付けを行うことで,より正確な対応付けが行えることを示した.この成果について3件の口頭発表を行った. 関連研究として,内視鏡のような特殊なカメラ運動をする画像からの高精度な復元方法に対して1件の口頭発表と1編の雑誌論文を公表した.また水面下環境の3次元復元法について1件の口頭発表,さらに障害物検出に特化したステレオ特徴マッチング手法についても1件の口頭発表を行った.
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