研究課題/領域番号 |
24500206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
浜本 義彦 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198820)
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研究分担者 |
藤田 悠介 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40509527)
飯塚 徳男 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (80332807)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 診断 / パターン認識 |
研究概要 |
国民の関心が高く、難治性の高いC型肝炎ウィルスに起因する肝癌を対象とした、ブール代数に基づく肝癌再発予測システムの開発を目的とする。この肝癌再発予測システムを開発するため、質的データと量的データを一括で取り扱う2値化とブール代数に基づく識別器の独自の設計理論を確立する。2値化は、異種データの一括した取り扱いを可能とするだけでなく、予測性能劣化の原因となるデータ変動の低減に必要な処理である。また2値化パターンを数学的に取り扱うブール代数に基づく識別器をブール識別器として定義する。 24年度では、実際に異種データを組み合わせた2値化パターンを定め、この2値化パターンを用いてブール識別器を設計し、予測性能の検討を行った。異種データとしては、既存の肝癌の腫瘍マーカーであるAFP、PIVKAとメチル化遺伝子のSPINT、SRD5Aという、まったくタイプの異なる2つのデータをそれぞれ2値化して組み合わせて2値化パターンとした。ブール識別器は、パターンの成分である2値の組み合わせでパターン空間を分類し、分類された領域毎にクラスラベルを張って入力パターンの予測を行うものである。小規模な予備実験を行い、今後の展開に向けてブール識別器の再発予測性能に一定の見通しを得た。 これとは並行して肝癌再発の症例を過去20年に渡って調査し、再発予測に資するマーカーの候補を収集した。このマーカーを2値化して上記ブール識別器への特徴の候補とする。収集した候補マーカーは、従来の腫瘍マーカーの他に、術後情報である腫瘍サイズ、腫瘍数、それに血管浸潤等であり、肝癌再発に関して医学的にも意味のあるマーカーであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度では、既存の腫瘍マーカーとまったくタイプの異なるメチル化遺伝子両方からのデータを2値化して組み合わせた2値化パターンを用いて、ブール識別器の構成とその評価まで行い、基本構想の正しさを立証することができた。 また、肝癌の再発に資する候補マーカーを過去20年に渡って調査し、症例データベースの構築を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
25年度には、再発予測精度向上のため、誤予測されたパターンの分析を行う。誤予測の指標には、感度と特異度を用いる。ここで感度とは再発患者を再発と正しく予測する割合であり、特異度とは無再発患者を無再発と正しく予測する割合で定義する。この感度、特異度から誤り傾向を分析する。癌の再発予測において重要なことは、再発の見逃しを防ぐことである。このため、医学的には特異度についてはある程度の低下はやむを得ないものの、感度は高いことが望まれる。誤り分析において、どのマーカーが誤りに起因しているのかを特定することも重要である。この誤り分析を非線形変換によるパターンの可視化により効率良く行う。 以上の解析とは並行して、肝癌の症例を検討し、より大規模で、高信頼性の症例データベースを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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