研究課題
これまでに動作する耳介を持つ二つのマイクロホンで収録した音信号から音源方向を推定する問題を検討しており,特に耳介が前後に傾く動作によって音源位置の高低を含めた方向を推定できる可能性が示唆されてきた.しかし,この動作を生む動作中は,モータ等が騒音を発生する(エゴノイズ)問題があり,この悪影響によって性能が劣化する問題があった.そこで,本年度は動作による性能向上と雑音の間のトレードオフに焦点を当てることとした.調査の結果,動作パターンによって発生する動作雑音の周波数成分や強度が異なるものの,広帯域信号に対しては雑音中でも従来の推定を行うことで定位性能が改善することが明らかになった.しかし,音声のような狭帯域の信号ではこの効果を音声で得るのは難しく,頭部運動へと拡張するのに先駆けて,利用可能な音響信号の周波数帯域を選定する方法を考察することとした.この方法として,日常的な音信号は短時間であれば周波数構造が安定していることを利用する方法を検討し,ある程度の帯域の広い信号(音楽など)では効果を挙げた.残念ながら,音声では十分ではなく,今後の拡張が必要であるとの結果を得た.既に期間は完了したが,現在継続的に耳介運動の試験範囲を広げて検討を続けている.ロボット本体の運動との連関については,当初予定していたヒューマノイドに替えてより大きな動きを与える移動ロボットをベースとして検討することとした.直接能動耳介を取り付けるには至らなかったため成果は十分ではなかったが,周波数応答などのこれまでに本課題で得られた知見の応用として,他のプロジェクトで用いるマイクロホンアレイの設計に援用し,雑音抑制能などの改善を見た点は当初想定していなかった結果を得ることが出来た.
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Proceesings of the 12 th IEEE International Symposium on Safety, Security and Rescue Robotics
巻: 1 ページ: 34