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2012 年度 実施状況報告書

睡眠時無呼吸症候群の簡易診断システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 24500213
研究種目

基盤研究(C)

研究機関工学院大学

研究代表者

中島 弘史  工学院大学, 情報工学部, 准教授 (40613641)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードなし
研究概要

2012年度の研究成果は、睡眠時における音環境データを収集した事、代表的なモバイル端末における音の収録性能を測定した事、これらのデータを評価し、学会を通して発表した事の3点である。
睡眠時の音環境データの収録では、一般家庭6か所において、就寝前から起床後までの約8時間、枕元および口元から1m離れた場所の2か所の音圧波形を記録し、レベル分析と、イベント音(いびき、呼吸音)の周波数分析を行った。レベル分析の結果、睡眠時の環境音は、50~70dB(C)程度の変動があり、高いレベルの音はいびきが主である事、また多くの家庭でエアコンの動作音を主とする低周波音が70dB(C)程度である事がわかった。なお今回、A特性ではなく、ほぼ平坦な周波数特性をもつC特性を用いて記録した理由は、人が聞いて感じるレベルではなく、モバイル端末で音を収録した際に記録されるレベルを調査する事を主目的としたためである。周波数分析では、いびきの主な周波数特性が100Hz程度を基本周波数とした調波構造で、倍音は5倍音程度までが主である事がわかった。
モバイル端末の調査では、3種のスマートフォン(iPhone 4, Galaxy SII, Regza Phone)と1つのタブレット端末(Nexus 7)についてのダイナミックレンジと周波数特性を計測した。その結果、ダイナミックレンジについては、どの端末も40dB~60dBの音は正確に記録できるものの、30dB以下の音や、70dB以上の音については、電気的ノイズや過大入力により正確に記録できない機種が存在する事がわかった。また周波数特性については、機種間の差が大きい事がわかった。
睡眠時の環境音データの収録およびモバイル端末の調査結果は、電子情報通信学会および日本音響学会が主催する2013年3月に開催された電気/応用音響研究会にて発表を行う事により公開した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2012年度の成果は、研究の目的を達成するために当初計画した内容を概ね満足している。当初計画した内容は、いくつかの典型的な睡眠環境におけるノイズレベルとその周波数特性を調査する事、スマートフォンなどの一般的に広く普及している録音機器の電気的なノイズレベル、入力ゲインおよび周波数特性を測定する事、これらの調査結果を公開する事の3点である。今回、「概ね」とした理由は、これら3つの各項目についての詳細な点で、当初の計画通りの調査を実施できなかったためである。睡眠環境の調査では、当初の計画では、睡眠時におけるイベント音として、呼吸音、いびき、寝言、寝返りを例として挙げていたが、実際の成果では、呼吸音、いびきについてはいくつかのサンプルを解析したが、寝言、寝返りについては調査できなかった。寝言については、今回収録したサンプルには含まれていないため、寝返りについては音のみから寝返りの音であると判断する事は困難であったためである。ハードウェアの調査では、当初の計画では、スマートフォンを利用する以外に、小型PCを利用する場合、それぞれの機器に民生用マイクロホンを接続する場合を挙げていたが、小型PCならびに民生用マイクロホンを外部接続した場合については調査しなかった。これは、実際の利用の場面を想定すると、一般に広く普及しているスマートフォンやタブレット端末の利用が主であり、小型PCや民生用マイクロホンは、スマートフォン等が利用できなかった時の代替手段としての利用に留まると考えたためである。そのため、当初の計画では、タブレット端末は例として挙げていなかったが、スマートフォンに次いで普及率が高い事を鑑みて、調査対象に含めた。情報の公開に関しては、当初の計画では、WEBページや学会発表等を通して行う事としており、学会の研究会を通しての情報公開はなされたもののWEBページによる公開は未実施である。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、平成25年度は、呼吸音サンプルの収集、収録データの整理、特徴量の解析と選択を行う予定である。呼吸音サンプルの収集では、平成24年度には収集できなかった、性別や年齢の幅のあるサンプルを収集する予定である。また寝返り等のイベント音を正確に検証するために、ビデオカメラによる動画撮影を行う予定である。収録データの整理では、暗騒音、(正常)呼吸音、いびき、寝返りなどのカテゴリー分けを行った上で、該当するイベント音だけを切りだしてフォルダごとに振り分ける。特徴量の解析と選択では、当初の計画の通り、音圧波形、音圧レベル、周波数スペクトル、時間周波数スペクトル(スペクトログラム)、パワー変動スペクトルなどをグラフ化し、呼吸状態と強い相関のある特徴量を主成分分析などにより解析し、呼吸状態を判断するために利用する特徴量を決定する。特徴量の決定の際には、単に相関が高いというだけではなく、前年度測定した収録機器による周波数特性やレベルレンジのデータに基づき、収録機器による差異が出にくい特徴量である事を条件として加味する。

次年度の研究費の使用計画

当初の計画通り、平成25年度は、設備備品に30万円、消耗品に20万円、学会発表に20万円、被験者謝礼に20万円、委託費に20万円程度を使用する計画である。当初、設備備品は計算用PC、消耗品は数値計算ソフトを想定していたが、現状の測定機材として不足しているビデオカメラや、長時間録音するための大容量の電池なども設備予算や消耗品として購入する予定である。また委託費については、単純なデータのタグ付け作業だけではなく、解析プログラムの開発作業の一部に関しても委託を行うことで執行する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 睡眠時無呼吸症候群の簡易診断システム構築に向けた音環境調査とハードウェア要件の明確化2013

    • 著者名/発表者名
      数納聖冴,神藤徳彦,加藤優基,中島弘史,三好和憲
    • 学会等名
      電気音響研究会/応用音響研究会
    • 発表場所
      KDDI研究所(埼玉県ふじみの市)
    • 年月日
      20130312-20130312

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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