研究課題/領域番号 |
24500216
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鎌田 清一郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00204602)
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キーワード | 画像検索 / 画像認識 / 特徴記述 / 空間充填曲線 / 錠剤認識 |
研究概要 |
25年度は,まず膨大なビデオデータセットからの人物等を効率的に特定するための辞書学習法を開発した.これはL1ノルムをベースとした従来手法のスパース辞書学習に,Maximum Correntropy Criterion(MCC)による区分的拘束条件を設定して,学習用ビデオからシーントラック,人物トラックの再組織化を行い,高精度のクラスタリングを可能にするものである.また、顔画像の粗検索法としてMCCによる線形判別関数を利用したシグネチャを提案した.シグネチャは,顔に対するHS-BoFの次元数Nの特徴空間を,探索性能をできるだけ保持するように次元縮退させ,低次元K(N>>K)の特徴空間に変換するものである.100万枚の顔画像を含んだ218,786個の顔トラックから検索することを試みた.従来手法として代表的なKey-Faces(2010)やFace-Track(2005)などに対する比較実験を行った結果,提案手法がmAPにおいて4~8%向上することを確認した.また,シグネチャによる高速化では検索性能を劣化させることなく,検索時間において従来手法より6~13%と大幅に改善できることを確認した.次に,患者が持ち込んだ裸錠が何であるかを認識する方法を検討した.裸錠には色,形状,刻印情報などを含んでいるが,刻印は重要な識別情報である.刻印は同色で刻んだものが多くあるため,そのエッジから2段階サンプリングにより特徴点を抽出し,それらの特徴点から距離集合を検出した特徴量を用いて,刻印情報を記述する方法を考案した.約2,500種類の錠剤の表裏を撮影した画像を薬局等から集め,提案手法の裸錠認識に関する評価実験を行った.その結果,上位5位までに入る認識率は約93%程度であることがわかった.従来手法のPill-IDやSDM(2010)などに比べて大幅に向上することを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度は画像や映像の高速検索方式の確立を行うことを計画として挙げていたが,計画通りに研究を遂行することができた.特に錠剤認識に関しては大幅な性能向上ができた.またシグネチャの導入により高速検索も可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
画像認識や検索に関する研究成果は,国際的に権威ある国際会議において論文発表を行う予定である.まず8月25日~28日ストックホルムにて開催されるICPR2014(Internation Coference on Pattern Recognition)にて錠剤認識に関する研究発表を行う.次に10月27日~30日パリにて開催されるICIP2014(International Conference on Image Processing)において特徴記述に関する研究発表を行う予定である.また,錠剤画像をさらに多く集める必要があり,薬局との連携も深める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では,膨大な錠剤画像用の蓄積メディアを購入する予定であったが,若干の不足が生じたため,次年度予算と一緒に購入することとした. 本研究では,錠剤画像の収集が膨大であるため,今後の研究を推進する上で2,904円はこれらの蓄積メディアと一緒に購入する予定である.
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