本研究では平衡の運動学習に伴い平衡に関する知覚が変化することを被験者を用いた心理的計測実験により示した. 平衡の実験は被験者の安全性を考慮して座位状態で行った.まず座位姿勢に規則的な外乱を与えるために,座面が不安定化するように回転し同時に全体が平行移動する特別な椅子を製作した.運動学習では,側方向座面回転軸が仮想的に移動すると同時に平行移動で慣性力外乱を受ける状況を被験者に繰り返し提示した.また平衡テストでは,被験者に側方向に傾斜した何通りかの姿勢を複数回とらせ,どちらに傾いているかの回答を得ることで,直立状態と感じる心理的直立姿勢を検出した. 14名の被験者に対して実験を行った結果,運動学習後に心理的直立姿勢が運動学習を行う方向によって有意に異なった.これにより運動学習により平衡に関する知覚に変化が起きることが示された.
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